【作リエイターズアトリエ(通称「作リエ」)】
テレビアニメ「ポプテピピック」のゲームパートを描き、映像制作やイベント主催など、フリーランスでマルチに活躍する山下諒さん。山下さんがMCを務め、各分野で活躍中のゲストクリエイターや美大生を招き、「創作」をテーマに、ツイッターの「スペース」で隔週水曜夜に語らう企画が「作リエ」だ。
連載では、スペースで出た話題から、エッセンスを抽出してお届けする。未来のゲストは、今この記事を読んでいるあなたかも?
第20回のゲストは、VR映像作家・ゆはらかずきさん。第17回に登場し、VR空間で絵を描く楽しさについて語ってくれた。
そこで今回はVRペインティングツール「Multi Brush」を使い、山下さんとゆはらさんにお絵描き合作をしてもらった。テーマは「なんでもありの、はちゃめちゃテーマパーク」だ。1時間後に完成したのは、とにかく情報量の多い、「キラキラ、ウホウホ」空間だった。
テーマパークなのに酒瓶、謎の部屋
ルールは簡単。一つのVR空間を二つに分け、それぞれがまず自分の陣地に30分で絵を描く。そして残り30分で、相手が描いたエリアに自分のアイデアを加える。山下さんはVRペインティング「初挑戦」に等しいが、一体どんな絵を描くのか。
いざ、お絵描きスタート(8:07~)。合作の模様は、ゆはらさんの公式YouTubeチャンネルで配信したため、動画は常に「ゆはらさんの手元」を映している。序盤からさまざまなペンやエフェクト、機能を巧みに操り、山に湖、ヤシの木、洞窟、不思議な生物たちを生み出していく。順調に「ゆはランド」を築く様は魔法のようだ。白いペンで描いただけの人型も、後から黒いペンで輪郭をなぞると、途端に立体感と存在感が増す。
一方の「マコトーランド」。中央にそびえたつ「まこと城」の隣には、ひときわ目を引くピンクの巨大像が。山下さんがプロデュースしている、自称天使系アイドルのクリエイティブユニット・ティーナ族の一人、「まこってぃーな」だ。ここだけ見ればテーマパーク感があるが、視点を移すと「諒」印の入った大きな酒瓶に、炎が渦巻く部屋など、謎のオブジェも......。
山下さんは「自分の好きを詰め込んだ」が、制限時間内に細部まで書き込むのが難しかったようだ。しかし二人はあえて、「目指す世界観」や「何を描いたか」を互いに全く明かさず、後半戦へ突入。混迷を極めるかと思いきや、ミラクルが!
山下さん「私の意図を汲み取りすぎでしょ、仕事できすぎでしょ、と唸る出来で感涙でした。あのヒント量でよく理解できたな...と......生き別れの兄弟かと思いました(笑)」
「センシティブになっちゃう!」
合作終了後の二人に、1時間を振り返ってもらった。山下さんは、「ゆはらさんと同じツール、同じ時間を使って生み出したもの」のボリューム感と完成度の違い、描き方の差に驚いていた。
「マコトーランド建設中は我流でしたが、ゆはランドに描き足している最中に『なるほど!こういう描き方があったのか!』と新たな発見ができて非常に楽しかったです」
ゆはらさんは、「VRペインティングほぼ初挑戦」だった山下さんの飲み込みの早さに脱帽していた。普段は一人で絵を描いているため、まこってぃーな像に虹をかけたり、電飾で装飾したりと山下さんの世界に手を加え、派手にしていくのが楽しかったそう。
「ゆはランドに山下さんが付け加えていくものも、すごく面白かったですよ」と、ゆはらさん。「きのこつくし」に「ウホゴリラ」など、描き足されたオリジナルキャラクターの中でも、特にお気に入りの「おじいさん」がいるようで......。
「終盤に山下さんが『センシティブになっちゃう!』と言っていたので気になっていましたが、まさかこれのこととは思いませんでしたね。煙のエフェクトで色々隠しているところとか、気遣いで笑ってしまいました」
その名も「ジーメイド」。どんな姿をしているのか、詳しくは動画にて(1:18:18~)。
第21回作リエは、2023年5月10日実施予定。