大学受験で、女子に法学部志向が高まっている。2023年の東大入試では、法学部を志望する文科一類の合格者に占める女子の割合が大きく増え、初めて3割を超えた。早稲田大や慶応、中央大の法学部などでも、合格者の高校別で最多を占めるのは女子校だ。
東大で「3割」に
大学受験の動向を調査している大学通信の調べによると、2023年春の東大合格者に占める女子の割合は、22.3%。過去最高になった。東大合格者の女子比率は長年「2割の壁」があるとされ、おおむね20%の手前で足踏みしていたが、一気に壁を突破した格好だ。 特に注目されるのは、文科一類。女子比率が30.5%に達した。4月18日号の日経ビジネス(執筆はジャーナリスト田中圭太郎氏)で、大学通信(東京・千代田)の井沢秀情報調査・編集部長が説明している。
「東京大では主に文学部に進学する文IIIで、女子の占有率は毎年40%程度と高い数字を出していました。文IIIが例年通りの占有率を見せている一方で、文Iでは21年度が22.8%、22年度が25.9%と右肩上がりとなり、23年度は30%を超えました。この数字はおそらく史上最高です」
司法試験の合格者も増える
女子の法学部志向の高まりは東大のみにとどまらないようだ。
サンデー毎日によると、私立大の法学部の状況を見ても、女子の法学部志向の強まりが感じられるという。一般選抜における法学部の高校別合格者数ランキングを見ると、早慶や中央大、明治大、立教大などの私立有名大では、1位の学校が女子校になっている。法学部志望の女子の増加は、女子の社会進出意識の高まりを意味する、とみる。
同誌の取材に、駿台予備学校進学情報事業部長の石原賢一氏が答えている。
「法学部人気は女子の公務員志向の強さが大きく、背景には将来を真剣に考える女子の姿が見えます。東京23区や政令市なら、安定した収入が得られ、転勤もほぼない。いろいろな働き方ができることも魅力なのでしょう」
法学部出身者が多く受験する司法試験の合格者も増えている。2017年は女性が20.4%にとどまっていたが、20年は25.3%、22年は27.7%と右肩上がりだ。