【連載】Z世代のトレンド研究
「Z世代」は、日々どんな情報に注目し、トレンドを追っているのか。
テテマーチ(東京都目黒区)マーケティング研究室「lookey(ルーキー)」のプロジェクトリーダー・川又潤子さんが、Z世代メンバー(同社定義:1995年から2010年生まれ)と共に、はやりのヒト・モノ・コトを取材。人気の秘訣をZ世代の視点で分析し、伝えていく。
物価や電気代が高騰する中、Z世代はどんな風にお金のやりくりをしながら生活しているのでしょうか。
服飾系の大学に通うlookeyメンバーの末永あみ(21歳)に、1か月のざっくりとした家計簿を見せてもらいました。上京して4年が経ち、一人暮らしにも慣れてきて、節約レベルが高そうと思いきや、意外にも......。
「ひと月だけで4万円使う」もの
まず、ある月の支出について。内訳は以下の通りです。
●支出【交際費】2万3000円
・カラオケ代(1万円)
・レンタカー代(3000円)
・飲み会代(1万円)
【食費】2万円
・買い物(1万円)
・外食(1万円)
・食品(0円)※実家が食品を送ってくれる
【日用品】5万6000円
・化粧品、生活雑貨(1万6000円)
・洋服(4万円) ※1~2着
【交通費】6000円
月の支出合計:10万5000円
家賃、水道光熱費、通信費などの項目がないのは、一人暮らしをスタートから現在まで、親からの仕送りを受けているため。上京後1年間は「これにプラスして病院代、定期代、おこづかい」ももらっていましたが、大学2年生に進級した時、これらの支援は断るようになったと言います。2年生からアルバイトを始めたことで余裕が生まれ、「親の負担を軽くしてあげたい」と考えたのがきっかけです。
気にしているのは「節約」よりも...
続いて、収入の内訳を見てみましょう。
●収入【アルバイト】17万円
・lookeyのインターン(15万円)
・その他のアルバイト(2万円)
月の収入合計:17万円
単純計算で、月々5~6万は貯金できているようですね。
支出と収入を見て、特に気になるのは「洋服代」。月の支出が10万5000円だとすると、4万円は結構多い印象です。
末永:洋服代が1か月で4万円だと安いほうで、月によっては10万円するときもあります。服飾系の大学に通っていて、洋服が好きなんです。
Z世代は、何か特定のモノについて「こだわりを持ちたい」「収集したい」「知識を集めたい」思いが強い世代とされています。
末永さんは大好きな洋服にお金をかけるために、どこを節約しているのでしょうか。
上京してからアルバイトを始めるまでの1年間は、自由に使えるお金は「仕送りのおこづかい」のみだったので、この期間は「できる限り自炊する」「ガスをこまめに切る」などを意識していたと言います。ただ、現在は「特別、節約はしていません」。普段、気を配っているのは「支出の管理」だそう。
末永「まず、私は普段から現金を使わず「LINE pay」(キャッシュレス・電子決済サービス)でほとんど支払っています。アプリの使いやすさやポイントの還元率など総合的に見て、このサービスに絞って使っています」
末永さんにとって「LINE Pay」は、単なる支払方法以上の意味を持つようです。「アプリ上で支出を管理して、なるべく見える化している」と話します。好きな洋服を買うため、それ以外にどれくらい使っているかを把握するのが目的です。お金をかける領域を明確に線引きして、やりくりしているのですね。
末永「欲しいアイテムがある時はバイトを増やして収入を増やし、調整できそうな交際費や化粧品にかかる費用を抑える工夫をしています」
「東京で一人暮らしをしている女子大生」の例から、Z世代流のお金の使い方の一端が見えました。