SAWA「霊媒師」感覚で作詞 元高校教師DTM作曲家が信じる「繋がり」

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【作リエイターズアトリエ(通称「作リエ」)】
テレビアニメ「ポプテピピック」のゲームパートを描き、映像制作やイベント主催など、フリーランスでマルチに活躍する山下諒さん。隔週水曜夜、各分野で活躍中のゲストクリエイターや美大生を招いて、「創作」をテーマに、ツイッターの「スペース」や「オンラインセミナー」で語らう企画が「作リエ」だ。
連載では、スペースで出た話題から、エッセンスを抽出してお届けする。未来のゲストは、今この記事を読んでいるあなたかも?

   第19回のゲストは、シンガーソングライターにして、元高校教師DTM作曲家のSAWAさん。代表作に「いじっぱりマーメイド」、「業務提携」、「パッとピッとプロミス」のフレーズでおなじみの「プロミス」テレビCMなどがある。自ら作って歌うだけでなく、アイドルやアーティストへの楽曲提供実績も豊富だ。

   スペースのテーマは「SAWA式『ファン心のつかみ方』 『オタクをプロデュース』する秘術」。アーカイブはこちらから。

  • シンガーソングライターにして、元高校教師DTM作曲家のSAWAさん
    シンガーソングライターにして、元高校教師DTM作曲家のSAWAさん
  • シンガーソングライターにして、元高校教師DTM作曲家のSAWAさん

「霊能力」で作詞

「緊急の動画がございます。。。」

   2023年4月7日のツイートで、「緊急謝罪会見」動画を投稿したSAWAさん。複数の記者にマイクを向けられ、無数のフラッシュを浴び、何をしたのかと思いきや――実は、新曲「ダウト」のMVだ。MCを務める山下さんが制作した。

   SAWAさんにとって、MV作りは毎回「新しいこと、これまでやっていないことへの挑戦」。これまで実写やCG、ゲーム風の作品を手掛けてきて、「これらを超えるものはなんだ?」と考えていた矢先、山下さんが作った「モスバーガー」のウェブCMを見た。実写がありつつ、さらにCG感やアニメ感もあり、「新しい融合」だと受け止めたことで、オファーに至ったそうだ。

   山下さんは「SAWAさんサイドから『色々遊んでいい』と言っていただいた、つまり『色々遊べ』ということだ」と解釈。そこで、「ダウト」を聞いて持った「きれいで良い曲」という印象を、壊していく作業から始めたという。結果、「どこかで見た」映像が無数に詰め込まれ、クスッと笑えるMVに仕上がっている。中でも、「作りたいカットが明確に決まっていた」と山下さん。そのカットとは(21:15~)。

   なお、SAWAさんは作詞の際に「音の通りに歌詞・文字を当てはめていく」スタイルを取る。

SAWAさん「自分では『霊媒師』と呼んでいます(笑)。ここは『っ』だなとか、『か』だな、というのが見えてくるんです。霊能力で書いているみたいな」
山下さん「では、最初にそこまでテーマは決めないんですね」

   テーマもストーリーも、あくまで「結果論」なので、思いもよらない仕上がりになるという。「ダウト」も、強調したい音のリズムに合わせ、言葉を紡いだ。SAWAさんお気に入りのフレーズや、数々の裏話はスペースにて(13:30~)。

「まんべんなくこなす」から、次につながる

   終盤、SAWAさんは「今の界隈に全然なじめなかった時期があった」と明かした。

SAWAさん「アイドル文化と言いますか、イベントで『必ずここでお客さんがこうする』というフォーマットが初期はわからなかった。文化を学ぶところからのスタートでしたね」
山下さん「ずばり、アイドル文化における『フォーマット』とは」
SAWAさん「BPM(編注:テンポの単位)がまず違うし、参加型なんですよね。『お客さんが何をするか』が重要。こっちが一方的に発信するんじゃなく」

   「お客さんに参加してもらい、共に楽しむ」機会を、楽曲の中に作り込む必要がある。その点に気づいてから、制作内容がかなり変わってきたそう。

   また、自身とファンの関係性だけでなく、「オタク同士の横のつながり」も大切にしており、イベントでの「共演者もファミリー、共演者のオタクもファミリー」として、チーム全体で共有していると話す。人前に出てパフォーマンスしつつ、集まった人々をまとめて「いい雰囲気にしていく」点では、高校教師をしていた頃と「やっていることは、あまり変わらない」。

   クライアントワークや作曲など、内にこもって集中する仕事が増えても、「まんべんなくこなす」姿勢で、自分が出役になる機会はなくさないようにしている、とSAWAさん。

SAWAさん「インプットしつつ、アウトプットもしていると、制作の仕事がやってくる。全部が点と点で繋がっているんですよね。全て自分のためになると思ってやっています」
山下さん「わかります。クライアントワークで作ったものを公表すると知名度が上がり、それをもとに自主制作するとファンがついてくれ、また次の依頼に......という流れができます」

   作リエ終了後、山下さんは「やはり人との繋がりは大事なのですね。これからの活動に生かします」とコメントした。クリエイターでありながら、「ティーナ族」という「自称天使系アイドル系クリエイティブユニット」を抱えるプロデューサーでもあるため、SAWAさんの考え方から刺激を受けたそうだ。

   SAWAさんも「映像畑のクリエイターさんと深いお話をする機会は貴重」であり、勉強になったと話した。

「特に、山下さんもアウトプットしながら取り組んでいる、自分の色を大事にしながら制作されているという点ではとても共感できました」

   第20回作リエは、2023年4月26日実施予定。

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