突然のカレーのオファーに
前情報無しに食べれば、元が「78円」のカレーとは気付かないかもしれない。場所は編集部。カレーの詳細は明かさずに社員に食べてもらい、「何円するカレーだと思う?」と感想を聞いてみよう。
J太と同じフロアに勤務する社員Aに話しかけてみる。余談だが、J太は社員Aとほとんど会話したことがない。実質、ファーストコンタクトだ。
J太「あの、カレーを食べませんか?」
社員A「カレー!?」
そりゃ驚くだろう。まともに会話したことのない社員が近づいてきたかと思えば、脈絡もなくカレーを差し出してくるのだから。驚きながらも「ちょっとだけなら...」と言ってくれたので、カレー皿を渡す。ふと、社員Aの近くに座っていた社員Bが僕に尋ねる。
社員B「これはなんのカレーなの?」
J太「それは絶対に言えません」
企画の主旨上、一切の前情報は無しで食べてもらいたい。そんな判断からとっさに出た言葉に過ぎないが、ほとんど話したことがないJ太から正体不明のカレーを渡された社員Aは「一体何を食わされるのか」とやや疑心暗鬼気味となってしまったようだ。
社員A「じゃあ...いただきます。えっ、なんか粒が入ってる...。なんだろう、これ...」
J太「...」
この粒とは、クミンシードのことを指している。もちろん、本来はただのおいしいスパイスだ。が、カレーに特別関心のない人からすればその正体はわからないだろう。若干怯えた顔でおそるおそる「謎の粒」を口にしつつ、困惑したままAは完食に至った。別にドッキリ企画というわけでもないのだが、もう少し情報を伝えればよかっただろうか。
社員A「ごちそうさまでした。なんというか、プチプチした粒が怖かったんですけれど、普通においしかったです。なんのカレーですかこれ?」
J太「何円ぐらいのカレーに感じました?」
社員A「スーパーに売っている300円とかのカレーって感じです」
求めていた反応だ!本来のカレーそのものの価格の、4倍近い値段。「78円のカレーです」と伝えたら、驚いた様子だった。まあ、そこに色んなスパイスを加えているのだけれども。