約80万個ものオブジェクト
もともとは、破壊を目的としたワールドではなかったとさやさんは話す。2022年春ごろに、自身の拠点となる「ホームワールド」としてまずは部屋の中のような空間を作った。ある日、部屋から見える外の風景を作るのに凝りはじめ、次第にワールドの面積が増えていったという。
3Dモデルを配置しきれいな風景を作っていく中で、「楽しい要素」もワールドに加えたいと考えた。このとき、ふと「破壊できたら面白いんじゃ?」と思いつき、建造物を壊せるギミックを取り入れるようになったという。
破壊ギミックの裏には、工夫やこだわりがある。ワールド全体にあるオブジェクト(3Dモデル)の数は、破壊した時に出現する細かいパーツも含めると約80万個あるという。
80万個のオブジェクトを常に配置しているとワールドに大きな負荷がかかり、まともに動作しなくなる。そこで、ユーザーが所定の場所に近づいたときに都度、3Dモデルが自動的に生成される仕組みを作った。
普段は主に負荷の軽いオブジェクトを配置しつつ、接近時や攻撃時など必要なときのみ重い3Dモデルを出現させるようにし、負荷を抑えているとのことだ。
制作のモチベーションには、「他のワールドに無いものをやってみたい」という思いがあるとさやさんは語る。訪れたユーザーに「楽しいと言ってもらいたい」との気持ちも、動機につながっているとのことだ。
半面、「Saya's Home」の魅力は破壊だけではなく、「きれいな景色もあると伝えたい」と語る。ワールド内には「隠し絶景ポイント」が10か所あり、それぞれで美しい風景を楽しめるのだ。
たとえば「さや温泉」という温泉旅館のようなエリア。所定の場所で、神社の参拝時におなじみの「二礼二拍手一礼」の動作を数回行うと、露天風呂に「パーティクルライブ」という演出が出現する。クラシック音楽をBGMに、空が夜景に切り替わる。
露天風呂に配置されている桜の木からはピンク色の粒子が、上空には青や黄色の幾何学模様が出現し、それぞれが光輝く。壊すだけでなく、こうした隠しポイントを探しだすのも、このワールドの楽しみ方のひとつだ。