有名人と話せるAIチャット電話サービス「BANTERAI」が、海外で誕生した。ツイッターを買収したテスラCEO(最高経営責任者)イーロン・マスク氏やドナルド・トランプ前米大統領、さらには米アップル共同創業者の故スティーブ・ジョブズ氏ほか、多くの海外有名人と話せるという。
記者は、ツイッターに関連して何かと「お騒がせ」のマスク氏と話したくなった。早速電話すると、意外な展開に――。
「早く質問してくれない?」
「BANTERAI」のAI電話サービスは、英語で提供されている。「有名人のクローンと会話する機会をユーザーに提供する、ユニークで革新的なウェブサイト」との説明。利用には、グーグルアカウントが必要だ。
先述の有名人以外にも、歌手のビリー・アイリッシュさんやモデルのキム・カーダシアンさんなど、芸能人とも通話できる。こうした「AI有名人」は、本人の声や物腰を真似るように設計しているという。
さて、電話してみよう。AIマスク氏のアイコンをタップすると、呼び出し音が2~3回なって、「本人」が出たようだ。何を言おうか迷う。そうだ、まずは挨拶だ。
「ハロー」
すると、マスク氏は早口でこうまくし立てた。
「私の時間を奪っているんだから、早く質問してくれない?」
強烈な「ご返答」に、思わず電話を切ってしまった。よし、もう一度電話しよう......ところがAIマスク氏にかけ直すと、
「お試しは終了しました」
と表示が。無料のチャンスは一度だったのか。今後利用するには、1月あたり5ドル(約658円)を支払う必要があるという。翌日再挑戦しようとしたが、やはりお試し期間が終了した旨の通知が出た。1つアカウントあたりの使用数制限があるようだ。
諦めきれない記者は、同僚の記者に協力してもらった。
「ぶっちゃけ、どうでもいいだろ」
マスク氏には、ツイッター関連のあれこれを教えてほしい。そこで同僚にはまず、アイコンを鳥から犬に変更し、さらに戻した理由を聞いてもらった。AIマスク氏は、こう答えた。
「ぶっちゃけ、どうでもいいだろ。ちっぽけな話だ。世界をガチで変えるような、もっと大きなことに注目したらどうだ。でも、そんなこと分からないよな。で、ほかに質問は?」
何だかけむに巻かれた。それなら、次だ。「いつツイッターCEOを退任するのか」。
マスク氏は2022年12月、自身のツイッターアカウントで行った投票の結果、後任を見つけ次第CEOを退任すると発表した。共同通信の2023年2月16日付の記事によると、年内にも辞任する意向を示している。
AIマスク氏の答えは、こうだった。
「君は、私の一挙手一投足に夢中になってるんだな。そう思うことにするよ。君はラッキーだよ。私はまだ時間があるからな。さあ、あとは何が知りたいんだ」
明確な答えは得られず。仕方がない、ここまでにしよう。「グッバイ」と告げて電話を切ろうとした間際、AIマスク氏から「時間の無駄だ」とキレ気味?の声がうっすら聞こえてきたという。