対話型AI(人工知能)「ChatGPT」や、画像生成AI「Midjourney」など、AIに関する技術の発展は目覚ましい。最近では、こんなニュースが流れた。
中国の著名声優が不祥事のために降板となり、AIが代役を務めると、2023年3月31日付の「ZDNET」で報じられた。記事ではそのクオリティーについて、「完璧とまではいかないが、AI音声にありがちな不自然さはなく、多くの人に『素晴らしい』と感じさせる出来だった」としている。
AI音声が、プロの声優の代わりを立派に務める――そんな事例を調べた。
「北斗の拳」内海賢二氏の声よみがえる
ソニー・ミュージックエンタテインメントは、名作文学をAI音声が読み上げる、新しい電子書籍「YOMIBITO Plus」を、電子書籍ストア「Reader Store」で2023年3月29日に配信開始した。
アニメ「鬼滅の刃」で活躍した小西克幸氏をはじめ、人気声優の音声を再現したAIが朗読を行う。驚くことに、2013年に亡くなった内海賢二氏の音声も聞ける。
内海氏は、アニメ「北斗の拳」や「魔法使いサリー」など、数々の名作に出演したことで知られ、AIの音声は内海氏の生前の音源をもとに再現されている。
ツイッターでは、「まんま内海さんだった」「感動した」と喜ぶ声、「正直怖い」「これはよろしくない」など、さまざまな反応が寄せられている。
指摘されるまで気づかない
AI音声合成技術を搭載した入力読み上げソフト「VOICEPEAK」を使用したホラーゲーム「T.P.Remake」が、インターネットで公開されている。
プレイヤーはゲーム実況者となり、実況中に自宅で起きた異変を調査する、という内容。ナレーションはすべてAI音声が行っているが、記者が聞いた限りではクオリティーが高く、AIだと指摘されるまでは気付かないほどだ。