バイドゥ「中国版ChatGPT」開発も 大規模言語モデル「いくつも必要ない」

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「GPT-4には2年遅れ」との声も

   李彦宏CEOは記者発表後に、中国テックメディア36Krのインタビューに応じ、「現在の文心一言はChatGPTの1月の水準」と、2か月の差があると語っている。完成度をもっと上げて世に出したかったようだが、リリース前に650社が協業を表明するなど、「(OpenAIのプロダクトを使いづらい)中国企業の強い焦燥感」が、バイドゥを急かしたという。発表会中にバイドゥの株価が10%下がるなど、市場もプロダクト完成度に敏感に反応しており、同社は3月27日に企業が文心一言を使うためのクラウドサービスを発表予定だったが、直前で発表会を取りやめ、個別説明会に変更した。

   中国ネットセキュリティー大手、奇虎360董事長兼会長の周鴻?氏は、中国企業の大規模言語モデル技術はGPT-4とは2年の遅れがあると分析した。「OpenAIの技術革新スピードは想像以上で、中国企業が追い付くのは容易ではない」と認めつつも、「この流れに乗らなければ淘汰されてしまう」との見解を示した。

   ChatGPT、グーグルのBard、バイドゥの文心一言と対話型AIがリリースされ、今はその優劣に関心が向かっている。また、中国ではIT業界出身の起業家が「中国のOpenAIをつくる」と続々プロジェクトを立ち上げている。だがバイドゥの李CEOは「AIに破壊的変化をもたらすこの技術をどう生かしていくかを考えるべき。大規模言語モデルはAIのOSのようなもので、いくつも必要ない。中国にOpenAIのような企業は現れないだろうし、スタートアップを含めたIT企業はChatGPTの後を追うのではなく、その技術を基盤にした画期的なプロダクトをつくった方が恩恵が大きい」と指摘している。

浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
Twitter:https://twitter.com/sanadi37
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