バイドゥ「中国版ChatGPT」開発も 大規模言語モデル「いくつも必要ない」

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【新連載】デジタル中国

   米スタートアップOpenAIが、対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を発表して4か月。マイクロソフトが自社のプロダクトに同技術を活用し、グーグルも対話型AI「Bard」をリリースしたことで、同技術への関心が高まり続けている。

   一方、OpenAIがサービスを提供していない中国では、企業の間で「中国版ChatGPT」を開発する機運が活発化し、検索ポータル最大手のバイドゥ(百度、baidu)がついに「文心一言」(ERNIE Bot)をリリースした。同技術を巡って中国でどんな動きが起きているのか、紹介したい。

  • 中国バイドゥ、対話型AIを発表(写真:AP/アフロ)
    中国バイドゥ、対話型AIを発表(写真:AP/アフロ)
  • 中国バイドゥ、対話型AIを発表(写真:AP/アフロ)

AI関連企業の株価が爆騰

   この記事を読んでいる人は、ChatGPTがどんな技術であるか、自身で試して、あるいはSNSなどを通じて知っているだろう。筆者のSNSのタイムラインにも、自分の勤務先について質問したり、悩みを相談したり、原稿を書かせたりした結果が日々表示され、大喜利状態になっている。正確で自然な回答が示されれば、「ChatGPTすごい」と驚き、でたらめの回答が示されても、それはそれで盛り上がる。ITに詳しくなくても遊べるので、日本では娯楽的要素を伴って急速に知名度を上げた。だが中国の状況は違う。

   ChatGPTは中国のIPアドレスや電話番号で登録できないため、日本のようなユーザー発の盛り上がりは起きなかった。代わりにChatGPTにスポットライトを当てたのは、常日頃から儲かりそうなネタを探している投資界隈だ。

   1月下旬、米ニュースメディアのバズフィードがChatGPTに使われている技術を使って編集コンテンツを作成すると報じられ、株価が200%以上急騰すると、中国でも「恩恵を受けそうな企業」漁りが始まった。中国の投資情報会社には「深?、上海で上場しているAIに関係する企業はどこか」との照会が殺到し、大赤字を出しているAIスタートアップも、マイクロソフトと取引しているだけの中小企業も株価が上がった。WBCで日本代表が優勝し、大谷工業や村上開明堂の株価が突然上昇したような状況に近い。

   "異常な"株価上昇に、証券取引所も当該企業を監視リストに加えたり、事業の中身を確認する質問書を次々に送った。多くの企業は市場の熱狂から距離を置こうとしたが、経営危機に瀕する海外高級ブランド通販サイト「寺庫(SECOO)」のように、突然「対話型AIを事業に組み入れる」と発表し、株価上昇を狙う企業も現れた(実際に株価は爆騰し、「なりふり構わぬ延命策」と炎上した)。

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