大相撲「大関昇進」に明確な規定なし 優勝・霧馬山は夏場所で何勝すれば?

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   2023年の大相撲春場所は3月26日、関脇霧馬山が小結大栄翔に優勝決定戦で勝ち、初優勝を果たした。これにより、5月の夏場所の成績次第では、大関昇進の可能性が出てきた。果たして何勝すれば、大関が確実になるのか。大栄翔など他の三役力士にも、チャンスはあるのか。

  • 5月の夏場所は東京・国技館で行われる
    5月の夏場所は東京・国技館で行われる
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目安は「三役3場所、33勝」

   横綱昇進については、横綱審議委員会で明文化された規定がある。「大関で2場所連続優勝かそれに準じる成績」が条件とされている。しかし、大関昇進には明確な規定がない。過去の例から見て「直近3場所が三役で、33勝以上」が目安といわれている。

   霧馬山は昨年の九州場所は小結で8勝。今年初場所は小結で11勝、新関脇の春場所は12勝を挙げた。現在は「三役で31勝」にとどまっているので、目安に少し足りない。初場所を起点に考えると、来場所で10勝すれば、可能性が高まる。

   過去の昇進者では、御嶽海が33勝、正代、朝乃山が32勝、貴景勝が34勝、豪栄道は32勝、鶴竜33勝、稀勢の里32勝、琴奨菊33勝、白鵬35勝、朝青龍34勝など。例外的に北の富士が28勝で昇進しているが、この時は4横綱がいた激戦の時代だった。大乃国も31勝で昇進したが、横綱、大関と対等の成績を残していた。単に勝ち数だけでなく、自分より上位の大関や横綱との対戦状況も、考慮されているようだ。

遊牧民の子

   霧馬山は1996年生まれ。スポーツ報知によると、モンゴルの首都ウランバートルから600キロ離れたドルノドゥで生まれた。父親は羊を飼育する遊牧民。生まれた時から距離が離れた2か所のゲルと呼ばれる住居用テントで過ごした。幼い頃から父の仕事を手伝い、「馬にも乗っていました」と明かすなど、生活の中で自然と足腰が鍛えられた。

   霧馬山は、朝青龍のように、モンゴル相撲の少年の部で優勝したり、白鵬のように、父親がモンゴル相撲やレスリングで活躍したりしていたわけではない。

   モンゴルでは柔道をやっていたが、相撲経験はなかったといわれる。14年に来日したときは体重70キロ足らず。その後の猛けいこで大関を狙えるところまでこぎつけた。好きなアーティストは長渕剛。日本にすっかり溶け込んでいる。

   モンゴル出身力士の優勝は朝青龍、白鵬、日馬富士、旭天鵬、鶴竜、照ノ富士、玉鷲、逸ノ城に続き9人目だ。

他の三役力士にもチャンス

   今場所は横綱照ノ富士が初日から休場。大関貴景勝も左ヒザを痛めて途中休場。昭和以降では初めて横綱大関が不在となった。しかし、三役陣が健闘し、霧馬山と大栄翔は12勝、小結若元春は11勝、関脇豊昇龍は10勝を挙げた。

   東京スポーツは、他の三役力士にも大関昇進のチャンスはあると書いている。起点となる場所が10勝未満や平幕でも、その後に好成績で優勝すれば大関に昇進した例があるからだ。最近では、正代(時津風)が8勝、御嶽海(出羽海)が9勝を起点に11勝→13勝Vで大関昇進を果たしていることを例に挙げている。

   一方、毎日新聞は3月18日、「『期待含みの昇進』が招いた看板力士不在 昭和以降初の異常事態」という記事で、目安に1勝足りない32勝で昇進した前乃山や正代は、大関では優勝経験のないまま番付を落とした、と厳しく指摘している。

   日本相撲協会は、大関陣を補強することも念頭に、従来の目安で昇進させるのか。あるいは、通例よりも厳しい基準をクリアすることが要求されるのか。来場所、照ノ富士や貴景勝が万全の状態で出場できるかどうかも大きな判断材料になりそうだ。

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