WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の興奮は、日本の株価にも影響した。選手や監督と同じ名字の会社が注目され、一時は株価が4倍になる爆騰銘柄もあった。しかし、こちらは利にさといマネーゲームの世界。侍ジャパンの優勝を待つ前に、下落し、早々とゲームセットになった。
連日ストップ高
「大谷工業」は、電線の鉄塔の設計・加工などのメーカー。大谷翔平選手と社名がかぶっているが、何の関係もない。しかし、WBCが始まってから株価が急騰した。
東京スポーツによると、2023年3月7日までは出来高も少なく4000円前半で推移していた。株価が動いたのは大会前日の8日。前日比460円高をつけると、8日には5000円をつけ、WBC関連株として、連日ストップ高で急上昇した。
準々決勝前日の15日には1万6050円の年初来高値をつける爆騰となった。しかし、投資家の逃げ足は速い。
17日には1万円割れし、22日の優勝直前にこそ再び1万円台に回復するご祝儀となったが、後場は売り一辺倒。7260円まで下げた。
23日の終値は6690円。株価は冷静さを取り戻しつつあるが、逃げ遅れて大損した人も多そうだ。
クリヤマ、村上、岡本もあるが
このほか、ゴム・樹脂製品メーカーの「クリヤマホールディングス」、自動車用バックミラー大手の自動車部品メーカー「村上開明堂」、特殊加工ガラス製造の「岡本硝子」、工作機械の「岡本工作機械製作所」などにも注目が集まった。しかし、「大谷工業」ほどの急激な動きは起きなかった。株価の世界でも、「大谷人気」が突出していた。
このほか、サッカーW杯やオリンピックの時と同じく、スポーツ用品銘柄やスポーツイベント銘柄にも関心が高まった。
WBC関連株は今後どう動くのか。毎日新聞は、三井住友DSアセットマネジメントの宅森昭吉チーフエコノミストに聞いている。「WBCは強化試合から盛り上がりを見せており、日本の優勝でピークを迎えた。WBC優勝をきっかけに野球人気にさらに火がつけば、スポーツ関連銘柄を中心に盛り上がる可能性もある」と話している。