新品の書道の筆には、毛の部分(穂)を包んでいる透明なキャップがある。書道用品メーカー「あかしや」(奈良市)ツイッター(@AkashiyaFude)2023年3月13日付投稿によると、この透明キャップは、筆の使用後には捨てた方がよいという。
同社のツイートによれば、キャップは「サヤ」と呼ぶ。筆を使用後サヤにもどすと、穂が腐って使えなくなるとの指摘だ。ユーザーからは「知りませんでした」との反応が相次いでいる。
湿気は筆の大敵
あかしやのツイートによると、筆の穂に「湿気は大敵」。サヤをしたまま放置すると、湿気が逃げず腐敗やカビの原因となる。「サヤダメゼッタイ」と付け加えた。
洗った筆は、風通しの良い日陰で穂先を下にして吊るし、完全に乾燥させるとよいという。家庭であれば、洗濯ばさみなどを使って吊るすとやりやすいと説明した。
あかしやのツイッター担当者に取材した。新品の筆にサヤを付けるのは、客の手に筆が渡るまでに、穂先が傷まないよう保護するためと話す。書道筆の歴史上、具体的にいつからサヤが用いられようになったかは判然としないが、「かなり昔から使われているようです」。
古い事例のひとつとして、50~60年前までは、「唐筆」と呼ばれる中国の筆に竹製のサヤが使われていたとの話を聞いたことがあると語った。