メタバースに出現したAIフル活用ワールド 雄大な山と草原...でも何か不思議

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   ユーザーの指示に応じてイラスト生成や作曲ができるAI(人工知能)ツールが、近ごろ相次いで登場している。メタバース(仮想空間)ワールドクリエイターの「サックー」さんは、AIを用いて作った実験的な空間を2023年3月8日に公開した。

   ワールドの名称は「AI_GeneratedWorld」で、メタバースプラットフォーム「VRChat」から入れる。内部には、4種類の空間が用意されている。各3Dモデルの製作時間について、「(AIによる出力時間を除くと)自分で行った作業は2~3分程度」というから驚きだ。

  • 「AI_GeneratedWorld」 アルプスの山をイメージした空間
    「AI_GeneratedWorld」 アルプスの山をイメージした空間
  • 取材に答えるサックーさん
    取材に答えるサックーさん
  • 一見立体的な小屋だが…
    一見立体的な小屋だが…
  • 小屋の後ろに立つと、「これただの絵じゃん!」
    小屋の後ろに立つと、「これただの絵じゃん!」
  • 山小屋の中をイメージした空間
    山小屋の中をイメージした空間
  • やはりちょっと歩くと歪みが出てくる
    やはりちょっと歩くと歪みが出てくる
  • 「AI_GeneratedWorld」 アルプスの山をイメージした空間
  • 取材に答えるサックーさん
  • 一見立体的な小屋だが…
  • 小屋の後ろに立つと、「これただの絵じゃん!」
  • 山小屋の中をイメージした空間
  • やはりちょっと歩くと歪みが出てくる

まるで「だまし絵」

   サックーさんがワールドを製作した手順を、簡単に説明しよう。まずインターネット上で公開されている「Skybox Lab」というサービスを使用。テキストでAIに命令すると、360度全方位の風景を、1枚の画像に収めたパノラマ写真のようなものを作れる。これでワールドの基となる画像を作成した。

   そして「Skybox Lab」で生成した画像に、自動的に奥行きを与え3Dモデル化できる「Genesis」というツールを使用し、「AI_GeneratedWorld」を作り上げた。

   ワールド内にある4種類の空間のうち、サックーさんが最初に手がけたのは、アルプス山脈や山小屋をイメージした場所。雄大な山に広がる草原の上に、雪をかぶった数軒の小屋が建つ。

   3D化されたAIアート。中に入ると、まるで歩ける「だまし絵」だと感じた。空間の中心地点から風景を見渡すと、雄大な世界が広がるが、完璧に立体化されているわけではなく、歩くと各所にひずみがあるのが見てとれる。

   例えば、山小屋。アバターが立っている位置によっては小屋が立体的に見える。だが近づくにつれ、実は立体構造を有しているのでなく、ドアも屋根も影も草原の上に描いた絵のようになっていることに気づく。平面なのでアバターが建物にぶつかることはなく、地面としてそのまま歩いて通れる。「小屋の裏」は存在せず、反対側にまわっても草の上に屋根が描かれているだけだ。

   現実のだまし絵やトリックアートを見たときのような奇妙な感覚だ。

   立体的に見える山や丘陵も、角度によっては空間ごと歪んだかのような不自然な形状をしていると分かった。あくまでパノラマ画像をもとに自動的に3D化しているため、元の画像では描写されていない「小屋の裏」「丘の裏」などは立体化が難しいのだろう。

   流れているBGMは「AudioLDM」という楽曲生成AIで作った。明るい雰囲気ながら、つかみどころがなく音程が記憶に残りづらい不思議なメロディーが10秒ごとにループ再生され、ずっと聞いていると気分がふわふわとしてくる。

   各空間の入り口には、ワールド作りに用いた「Prompt」(AIへの命令文)が記されている。3Dモデル化前の元画像は、「Alps(アルプス), Mountain hut(山小屋)」とシンプルな命令で「いい感じに」生成できたとサックーさんは語った。

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