AIは「脅威でなく、パートナー」
審査員長の河口氏は、開会によせてのあいさつや、各プレゼン終了後の質疑応答時、また授賞式最後のコメントでも、折に触れて「AIを脅威に捉えるのではなく、前向きに、正面から受け止める」ことの重要性を口にし、AIは人間の可能性や、創造性を拡張・伸長させるパートナーであるとした。AIアートの方向性は混沌としているものの、未来の可能性は大きいことにも言及し、「第二回AIアートグランプリ」の開催に期待をにじませた。
イベント終了後、審査員を務めたイラストレーター・安倍吉俊氏と、アニメプロデューサー・諏訪道彦氏を取材した。安倍氏は、自身に寄せられる「オーダー内容の変化」にAIの影響を感じているそう。
「最近は、AI画像生成サービスのMidjourneyで作ったであろう画像が、サンプルとして送られてくるケースがあります」
完成品のように仕上がっているサンプルを前に、「影響されすぎないように注意する必要がある」のと同時に、「AIにはクオリティでは勝てても、スピードでは敵わない」と話す。AIとは速さで競うべきではなく、うまい付き合い方や活用法について考えていく必要がある、ということだ。
諏訪氏も、「人間とAIが描くキャラクターイラストの間には、まだ差があり、違いがわかる」としつつ、「この差をAIが埋めてきたら、話が変わってくる」という。応募作品の審査を通じて、「AIのシャワーを浴び、作り手・送り手側の意識改革が必要だと感じた」と語った。