【連載】Z世代のトレンド研究 「Z世代」は、日々どんな情報に注目し、トレンドを追っているのか。 テテマーチ(東京都目黒区)マーケティング研究室「lookey(ルーキー)」のプロジェクトリーダー・川又潤子さんが、Z世代メンバー(同社定義:1995年から2010年生まれ)と共に、はやりのヒト・モノ・コトを取材。人気の秘訣をZ世代の視点で分析し、伝えていく。
「10円パン」、ご存じですか? TikTokで「10円パン」とハッシュタグがついた動画が、総再生回数2800万超という数字を叩き出し、今Z世代の注目を集めている韓国発のグルメです。10円のパン......ではなく、500円で買える「巨大な10円硬貨型のスイーツ」のこと。
今回は、TikTokを1日8時間視聴しているlookeyメンバー・武井捺(20歳)と実際にパンを食べ、人気の秘密を探ります!
来店きっかけを、Z世代がZ世代にインタビュー
やってきたのは、若者の聖地・渋谷にある販売店。新大久保、大阪などにもお店があります。平日の夕方17時ごろに店舗に行ったところ、既に10人ほどが列をなしていました。
列が進むと、パン作りの様子をガラス越しに見ることができました。パン生地とトロっとしたチーズが、パンの型にたっぷりと流し込まれ、食欲をそそります。
目の前で焼けるのを待つこと5分。出来立てをいただきます!
フワフワのやわらかい生地はホットケーキのようにほんのり甘く、温かくて少し塩っ気のあるチーズがマッチしています。甘じょっぱい味がやみつきになるおいしさ......!「パン」という名前の通り、スイーツというよりは「しっかりとお腹にたまるタイプのおやつ」だと感じました。
人はなぜ、10円パンを買い求めて並ぶのでしょうか? 店舗前で食べていた人にインタビューしてみました。話を聞けた女性2人連れ2組とも、偶然Z世代でした。
「TikTokのおすすめで流れてきて気になったので、用事ついでに寄ってみました。味は想像していた通りでした」(23歳女性) 「TikTokやInstagramのおすすめで流れてきて、伸びるチーズの映像がおいしそうだったので友達を誘って来てみました!写真を撮ってInstagramのストーリーズに載せます」(19歳女性)
TikTokやInstagramの「おすすめ」機能を通じ、10円パンを認知している点が共通していました。
トレードマークの伸びるチーズが動画・写真映えすることもあり、TikTokや、Instagramの短尺動画「リール」で拡散されて、実際に食べに行く人が増えているようです。今回お話を聞いた2組以外にも、10円パン購入後、真っ先に写真を撮っている人がいました。