プロ野球選手が練習キャンプ中などにファンサービスとして行うサイン執筆。こうした直筆サイン入りのボールや色紙が、インターネット上で高額転売される事例が相次いでいる。ツイッター上の野球ファンからは今後、選手にサインを求める行為が禁止されるのではないかと心配する声がみられる。
書いた選手本人が転売に苦言を呈することも。中日ドラゴンズの土田龍空選手は2023年2月28日未明、自身の直筆サイン入りのユニフォームグッズがオークションサイトで転売されている様子をインスタグラムのストーリー機能で投稿。「時間を割いて書いてるのに悲しいですよね 書かなければよかった」と述べた。
ソフトバンク和田投手「悲しいっすね」
2月1日付日刊スポーツ(電子版)によると、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類へ引き下げられるのを前に、球界では感染対策の緩和が進んでいる。多くの球団ではキャンプ地の来場者数の制限を廃止。コロナ禍で禁止されていたサインといったファンサービスは、制限付きで解禁されるようになった。
2月11日のツイッターでは、西武ライオンズのキャンプ地に行ったとおぼしきファンのツイートが注目を集めた。同球団の隅田知一郎投手がファンサービスを実施していたところ、同一人物が5回も隅田投手にサインを求めていたことに気付き、転売目的とみなしてこの人物をとがめた、とする投稿だ。
2月17日付デイリースポーツ(電子版)によると、福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手は同日にインスタグラムのストーリーを更新。自身の直筆サインボールがネットオークションにて2万2000円で投稿されている様子の写った画像とともに、「悲しいっすね...」とつづったとのことだ。
2月16日付FNNプライムオンラインによると、同日の情報番組「めざまし8」(フジテレビ系)では西武の練習場を訪れたファンに取材。話によると、来場者の間から「どれくらいサインもらった?」「数万円分くらいかな」という会話が聞こえてくることがあったという。
ファンサービスの中止、縮小?
先述の土田選手が所属する中日は、2019年2月に転売行為をとがめる声明文を出している。「沖縄春季キャンプにおいて、一部のファンの方で転売を目的として選手へサインを求められる行為が見受けられています」とし、サイン入手時の目的を問わず、転売行為をしないよう要請した。
今後もこうした行為が見受けられる場合は、「本意ではございませんが、サイン等のファンサービスを制限させていただくことも視野」に入れていると説明した。
サインの転売行為がきっかけかは不明だが、千葉ロッテマリーンズは23年2月10日、チーム関係者の移動時や宿舎においてはサイン、写真撮影、握手といったすべてのファンサービスを控えると発表した。キャンプでの練習後など、ファンサービスを行うのは対応可能なタイミングに限るとのことだ。
2月15日付「週刊女性PRIME」では、プロ野球選手のサイン転売について取り上げた。記事内に登場する「スポーツ紙・野球担当記者」は、各球団が転売行為を問題視していると説明。「あまりにも悪質な場合はキャンプ中のファンサービスを中止、禁止も検討していると聞きますね」と語った。
日本プロ野球選手会公式ツイッターは2月16日、週刊女性PRIMEのこの記事に反応しつつ、
「サインの転売問題は以前から選手会でも問題視する声が出ていました。一部の方の心無い行動により、ファンのみなさんとの交流が縮小してしまうことは選手の本意ではありません。 転売はもちろん、フリマサイトなどでの購入もお控えいただければと思います」
とツイートした。球団や選手の望まない高額転売が続けば、将来的にファンサービスの内容が制限される可能性は否定できなさそうだ。