「実質価格」で格安に
前述のとおり、2019年の法改正で、通信契約を条件にした端末の割引は2万円までとなった。記者が見た「2万円以上の端末値引き」の「仕組み」は、こうだ。まず、通信契約の有無を問わず、端末自体への値引きが設定されていた。そのうえで、通信契約を条件にした端末代値引きがさらに上乗せされていたのだ。
例えば、「iPhone 13」に対しては、端末単体購入でも一律5万円前後引かれている。さらにMNPで購入とすれば、2万円の値引きが追加される。つまり通信契約を条件とした端末の値引き額は、2万円を超えていない。この結果、「実質価格で数十円」が可能になっている。
なお記事冒頭にある「実質価格」とは、残価設定型の購入プログラムを使用した場合の値段だ。契約から2年後に購入機種を返却する契約オプションに加入することで、「実質価格」での端末購入ができる。返却をしない場合、残金を支払う必要がある。対して「一括1円」は、端末の返却などのしばりは存在しない。
総務省が23年1月30日に実施した「競争ルールの検証に関するWG(第38回)」では、端末単体での割引残価設定型の購入補助プログラムについても制限をかける必要があるのではないかと言及されている。