「行ってみよう」という気にさせる
もうひとつ。今回の「鬼滅の刃」映画では「入場特典目当ての観客が多く見受けられた」とも、よしひろ氏は指摘する。例えば、封切日が節分に当たる日だったことを記念した「上映記念 節分ビジュアルカード」と、「鬼」に焦点を当てた特別冊子「上弦集結本」を全国200万人限定で配布している。これを目当てに鑑賞した人が、初動3日間の好成績に影響したのだろうと推察した。
前述したとおり、映画は総集編で、すでにテレビで放送したエピソードと、2か月後には見られる話をまとめた作品だ。「公開3日で興収11億円超」の人気を集めた理由について、よしひろ氏は「ファンの焦燥感を煽るのが本当に上手なタイトルが鬼滅」と分析する。
2022年に発生した安倍晋三元首相の銃撃事件を受けて、銃を使うキャラクターや、壺の鬼が登場する「刀鍛冶の里編」が中止するとのデマが流れた。よしひろ氏はこの騒ぎに触れ、「新作を待ち焦がれるファンが多いのは周知の通り」とする。そのうえで、「総集編であると分かっていても、(配布数を限定した)おまけがついていたら、知っているエピソードでもとりあえず行ってみよう、という気にさせるでしょう」と話した。