新型コロナの感染症法上の位置づけが、2023年5月8日から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行する予定だ。多くの国民にとって気になるのは、医療費。当面は政府が肩代わりする、などと報じられているが、将来については未定だ。自己負担はいくらになるのだろうか。
医療費明細に目を丸くした
「あなたの新型コロナの診療費用は、しめて61万円でした――。昨年、郵送で届いた医療費明細に目を丸くした」。
日経新聞の一面コラム「春秋」は1月21日、筆者自身の体験を書いた。デルタ型に感染し9日間入院したが、退院時の支払窓口は素通り。自己負担はゼロと説明されたからだ。いくらかかったのか、気に留めないままだったが、届いた明細を見てびっくりした、という体験を記している。
コロナ治療費は現在、基本的に公費負担。「5類」に移行し、自己負担となった場合、いくらかかるのか。
福島テレビは1月31日、「入院費もいずれ自己負担に 3割負担で20日37万円?医師は受診控えを懸念」というニュースを放送している。
取材には答えた済生会福島総合病院によると、軽症で入院した場合、回復まで2日~20日かかった患者がいた。その入院費は約12万円~125万円、仮に3割負担で3万6000円~37万5000円に、ほかに食事代もかかる、と説明している。同テレビは、高額療養費の支給制度があるが、決して安い金額ではない、と補足している。
ワクチンや検査でもコスト
高額療養費制度は、医療費が1か月(歴月:1日から末日まで)で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度。上限額は、年齢や所得に応じて定められている。このため、実際の自己負担は個人差がある。入院が月をまたぐと、支払いが増える可能性がある。コロナでは後遺症もあるので、通院が長引き、医療費を払い続けるケースも想定される。
入院や通院をしなくても、コロナではワクチンを打つことが要請されている。東海テレビによると、国が負担しているワクチン一回の費用は約9600円。福島テレビによると、PCR検査は8500円で仮に3割負担だと2550円、抗原検査は4440円で仮に3割負担で1332円。これに診察代や薬代がかかるので、3割負担で6000円前後になるのではという。
一年に何回もワクチンを打ち、検査もするとなると、家計の負担は大きい。
NHKによると、これまでのところワクチン接種にかかる費用は、国から自治体などに補助金の形で支給し、21年度には2兆3000億円余りの国費が投じられている。ワクチン接種回数が増えた22年度は、さらに膨らんだとみられる。
東京都など地方自治体は、「5類」への移行について、段階的に進めること、移行後の保健・医療提供体制のあり方を早期に明確にするべきだとしている。
1月末に行われた内閣府の新型コロナウイルス感染症対策本部では、「急激な負担増が生じないよう、入院・外来の医療費の自己負担分に係る一定の公費支援について、期限を区切って継続する」としている。