【作リエイターズアトリエ(通称「作リエ」)】
テレビアニメ「ポプテピピック」のゲームパートを描き、映像制作やイベント主催など、フリーランスでマルチに活躍する山下諒さん。隔週水曜夜、各分野で活躍中のゲストクリエイターや美大生を招いて、「創作」をテーマに、ツイッターの「スペース」や「オンラインセミナー」で語らう企画が「作リエ」だ。 連載では、スペースで出た話題から、エッセンスを抽出してお届けする。未来のゲストは、今この記事を読んでいるあなたかも?
第14回のゲストは、「現代無双~異世界で魔法を覚えて現代で無双する」(ebookjapan)の作画を担当し、「鋼鉄(ハガネ)の戦士、異世界にて伝説の英雄となる」(コミックシーモア)の原作者でもある、漫画家の森脇かみんさん。テーマは「漫画家に聞く『人体の描き方』 医大仕込み『解剖学』の知識生かして」だ。スペースアーカイブはこちらから。
医大進学が「絵の勉強」につながるわけ
森脇さんは幼少期からずっと、漫画家を夢見ていた。ただ、「両親揃って医者家系の、長男」に生まれたため、親族からは「医者になり、父がやっている病院の後を継ぐ」と期待を寄せられていた。
医者にはならない、と小学生の頃から言い続け、芸大への進学を希望したものの、入ったのは医大。「手塚治虫先生も、医師免許を持っている」と親に説得されたそうだ。
森脇さん「家族仲が良かったこともあり、親を切り捨ててまで夢を追いかけられないなと、その時は思ったんです。医学部なら解剖を学べて、絵の勉強になるから、とも考えました」
人体解剖の授業では、「皮膚を切開し、内臓や筋肉を取り出し、手で触って接合部を見た」。取り出したものをスケッチする授業もあり、森脇さんは熱心に取り組んだという。
筋肉の名称や形、接続の仕方はもちろん、外と中それぞれからの見え方の違いや、関節の可動域など、人体にまつわる理解と知識が大いに深まった。それが漫画を描く際に役立っているという。「『この筋肉、どこにもくっついていないよね。何の意味があるんだ』というものを描かずに済む」、つまり、絵でウソをつくことを避けられるのだ。そうした細かいところがクオリティアップにつながってくるのでは、と分析する。
さらにいえば、「ウソのつき方もわかる」。筋肉のかたまりのような超人的な体を描きたいときや、華奢(きゃしゃ)な人を表現したいときに、正しい解剖学を発展させて、うまく調節させられるという。
森脇さん「最初からウソで覚えてしまうと、発展させようがないんですよね」
山下さん「型破りになるには、まず型を知っておかないといけないってことですね。基礎を押さえたうえで、という」
「型」を学ぶには、色々な方法がある。森脇さんのおすすめは、アーティスト向けガイドブック「スカルプターのための美術解剖学」だ。
具体的に踏み込んだ「人体の描き方アドバイス」は、スペースにて(36:19~)。