政府の情報統制から逃れる
こうした秘密性の高いアプリや「ダークウェブ」は、犯罪だけに利用されているわけではない。
22年5月1日の日経新聞は、「暗号化メッセージアプリ、検閲懸念で利用急増 ロシア侵攻後、『テレグラム』『シグナル』競う」という記事を掲載している。
それによると、「テレグラム」はロシア出身の技術者が開発し、現在は同国外に拠点を移している企業が運営する。「シグナル」は米国発だ。
22年2月のロシアのウクライナへの軍事侵攻後、ロシアでは「テレグラム」のダウンロードが急増した。これは、政府の検閲を逃れようとする人達の利用が増えたためとみられている。
一方、ウクライナでは「シグナル」の利用が増えた。これらの暗号通信は、政府の情報統制が厳しい中国などでも普及が進んでいるという。
「ダークウェブ」の代表とされる「Tor」も、犯罪だけに使われているわけではない。『闇ウェブ』 (文春新書、2016年刊) によると、本国の人権抑圧などで、通常の方法では自由なやりとりできない活動家などもTorなどを使って情報交換、抵抗を続けている。「ウィキリークス」のジュリアン・アサンジなどもTorのネットワーク上にサイトを構築しているという。