鳥取県が、県庁内に架空の部署「メタバース課」を立ち上げる。2022年2月2日に発表した。職員には、AI(人工知能)を備えたアバター「YAKAMIHIME(八上姫=やかみひめ)」を採用する。
メタバースプラットフォーム「XANA」を展開する「NOBORDER.z FZE」(アラブ首長国連邦)が開発した、AI搭載アバター「XANA:GENESIS」がある。これを、鳥取県オリジナル仕様にカスタマイズしたのが「YAKAMIHIME」だ。同県の調べによると、音声会話や感情表現が可能なAI搭載のアバター職員を自治体が採用するのは日本初とのこと。
流ちょうに抱負語るAIアバター
鳥取県は47都道府県中最も人口が少なく、「関係人口」の増加に取り組んでいる。「関係人口」とは、その地域に居住する「定住人口」や、観光客のような「交流人口」以外に、さまざまなかたちで特定の地域に関わる人々を指す。
今回は「メタバース関係人口」を創出するため、「メタバース課」を創設。2月2日に「メタバース課 職員採用発表会」を実施した。
観光名所・鳥取砂丘とかけたのか、「メタバースを砂バースにする」野望がある――登壇した鳥取県・平井伸治知事は語る。メタバースを通して同県の知名度を高め、世界中の人と新たなつながりが生まれることで、人口減少や高齢化といった課題の解決につなげていけるのではないかと考えているという。
発表会場のスクリーンにはYAKAMIHIMEを投影。平井知事が「(AIアバター職員として)抱負を聞かせてください」と話しかけると、
「鳥取メタバースを、安心・安全で、誰もが楽しめる活気あるオンラインワールドにするために、お手伝いできればと思っています。そして世界中に鳥取県の魅力を発信していきたいです!」
と流ちょうな人工音声で返答が。平井知事は「(職員として)合格です」と満足げだ。県の発表資料によると、AIアバター職員の採用で、24時間365日、鳥取県に興味を持つ人々とコミュニケーションを図っていきたいとのことだ。
記者の質問後5、6秒してから...
YAKAMIHIMEには、「XANA」内にある鳥取県のブースからアクセスし、交流可能だ。パソコンやスマートフォンから、音声か文字でのチャットを通して会話できる。なおブース内には、アニメ「鉄腕アトム」と県内の観光地がコラボして誕生したトレーディングカードの絵柄が、ギャラリーとして飾られている。
J-CASTトレンドがYAKAMIHIMEに「地域活性において、メタバースはどのような役目を果たすと思いますか?」と質問した。すると5、6秒ほどしてこんな答えが。
「メタバースは、地域活性化のために非常に重要な役割を果たすことができます。人と人がつながり、アイデアを共有するプラットフォームを提供することができると思います」
なお「NOBORDER.z FZE」の発表資料によると、鳥取県に関する情報や観光情報はまだYAKMIHIMEにインプットされていない。今後同県と調整しながら、トレーニングを通して順次改良していく予定とのことだ。