プロ意識が高い
新谷選手は高校時代から傑出した長距離ランナーとして知られた。岡山・興譲館高校時代は全国高校駅伝で、エース区間の1区を走って3年連続区間賞。2012年のロンドン五輪では1万メートル9位、13年のモスクワ世界陸上では1万メートル5位。日本長距離界のナンバーワンランナーとして活躍したが、14年に突然現役引退。その後、会社員生活を経て18年に再び陸上界に戻り、1万メートルやハーフマラソンで日本記録を樹立。ナンバーワンアスリートとして復活している。
なぜ新谷選手は五輪にこだわらないのか。日刊ゲンダイは、ある実業団の指導者の以下のような見方を伝えている。
「新谷はプロ意識が高く、4つの日本記録を更新することがスポンサーへの恩返しになると考えている。それはプロである自分の商品価値を高めることにもつながる。新谷なら5000メートルの記録(14分52秒84)更新は難しいことではないし、今回の走りを見ればベルリンでの記録破りも十分にある。一方の五輪マラソンは、ペースメーカーはつかず、有力勢のペースの上げ下げによる消耗戦で時計は度外視。新谷の持ち味で勝負になるレースではありませんから」
パリ五輪の選考会、マラソングランドチャンピオンシップのレースは今年10月15日、東京で開催される。9月にベルリンマラソンに出場する新谷選手は、日程的にもこのレースに出るのは難しいとみられている。