VTuberが事務所を移籍する 実は一筋縄ではいかないと専門家が指摘

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アバターという財産をどうするか

   例えばVTuberとして利用しているアバターと、「中身」(アバターを操作し喋る人間)がセットになって移籍するパターン。

   アバターのIP(知的財産)を価値化して運営する活動は、各運営会社にとって事業の基本となる重要な要素だ。そのため、移籍するにはVTuber側と事務所間でアバターの権利関係について「詳細な調整が必要」だと茂出木氏は指摘する。

   一方でアバターの権利は事務所が所有したまま、「中身」のみが移籍するパターンを想定すると、こちらも問題が発生し得るという。

   VTuberとして活動し人気を集めた実績のあるアバターは、「中身」の交代がファンから許されない傾向にあり、「多くのVTuber事務所がこれまで炎上を経験」している。つまり「中身」の人間だけが移籍をしても、事務所側にとってはアバターのIPが価値を失い、痛手だ。

   移籍によって、事務所はアバターというIPの価値を失う問題。これを「どのように決着するかが(VTuberが移籍するうえで)カギではないでしょうか」と茂出木氏は話す。

   今後は技術の進歩により、VTuber側が自前でアバターのデザインやモデルデータを用意し、現実のタレントのように事務所に所属することが可能になると茂出木氏は推測する。

   そのときにこれまでのVTuberプロデュース会社とは異なる運営方法、例えば現実の芸能人が事務所と交わすマネジメント契約のような形式でVTuber活動を行うケースが出てくれば、事務所とVTuberの関係性は変わっていくのではないかと語った。

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