ドキドキするシチュエーション
ただ冒頭にもある通り、いとよさんが制作したのは観心寺だけではない。この次、22年5月に公開したのが「放課後のロッカー」というワールドだ。
教室内に設置された狭いロッカーの中をテーマにしたワールドで、ユーザー同士が2人で入室すると、お互いのアバターが密着するドキドキ感が楽しめる。
いとよさんによると、VRChat上では通常、ユーザー同士が密着しすぎると、近づいた相手のアバターが視界から消え、見えなくなる。
しかしワールドの設定次第では、相手の姿が消えないまま「ゼロ距離」まで近づくことができる。これを知ったとき、その設定の効果を最大限発揮できるワールドを作れば面白いのではと考え、「ロッカーで他人と密着する」という漫画のようなシチュエーションを思いついたという。このワールドは、VRChatユーザーから大きな反響を得た。
ロッカー内で密着できるワールドの制作を通して、現実ではできない経験でも、VR上なら実現できると感じた。それ以降、自身のやりたいことを「叶えていく」との思いからワールドを作るようになった。2023年1月23日までに、7か所のワールドを公開している。