腸内の浸透圧が変化
香織さんの腹痛と下痢は、食べ物によって腸内の浸透圧が変化して起こった一時的なものと考えられます。つまり、下痢や腹痛を防ぐには、食べるものを変えればよいのです。
私たちの腸内は、食事の栄養素によって腸内の浸透圧が高くなることがあります。すると、腸内の水分と電解質のバランスが崩れて、下痢が引き起こされてしまうのです。便秘のときに酸化マグネシウムなどの塩類下剤を使うと、腸内の浸透圧が高くなり排便を促せる仕組みと同じです。
今回、香織さんが口にしていたもので腸内の浸透圧を変化させるのは、ガムに含まれる甘味料。つまり、正解は「ガムを食べながら仕事するのをやめる」。
ガムに含まれている甘味料の多くは、キシリトール、ソルビトール、マルチトールなどの「糖アルコール」。小腸で消化・吸収されにくいため、低カロリーでダイエットには適した甘味料と言われています。しかし、消化・吸収されずに大量に大腸まで運ばれると、大腸内の浸透圧を高める原因に。結果、腹痛や下痢を引き起こします。
糖アルコールも適量を食べる分には、何の問題もありません。問題は、食べすぎ。ガムで主に使用されるキシリトールの1日の摂取量は、目安が10グラム程度とされています。香織さんは、仕事中ずっとガムをかんでいたので、この摂取量を過剰に超えてしまったのではないかと考えられます。
人によっては摂取量が目安以下でも、下痢や腹痛を起こす場合があるので、自分の適量を見極めて食べるようにしましょう。