アニメに関するクイズに正解した人だけが、グッズを1人1点購入できる――。こんな転売対策が、アニメ、漫画作品「邪神ちゃんドロップキック」(邪神ちゃん)の物販イベント「邪神ちゃんPOP UP SHOP in丸井錦糸町店(東京都墨田区)」で実施された。
このポップアップショップは2023年1月8日~17日に出店。クイズによる転売対策は、「邪神ちゃん本セット」(税込5500円)が対象だ。どんなクイズを出題したのか、そもそもなぜこうした対策を取ったのか、アニメ「邪神ちゃん」の宣伝プロデューサー・栁瀬一樹さんを取材した。
純粋なファンにのみ販売するために
栁瀬さんによると、具体的には「(作中で)ATMと呼ばれているキャラクターの名前は?」「ダンボールハウスに住んでいるキャラクターの名前は?」など、登場人物にまつわるクイズだったという。ファンにとっては「常識といえる」が、アニメ末視聴では答えられない「絶妙なライン」を目指した。
5問目のみ、作中に飲食店の店員として声のみ登場したキャラクターの声優名を問うという「普通は答えられない」ほど難しい。だが、5問中1問でも正解すれば購入できるルールだ。
丸井錦糸町店では22年8月~10月にも物販イベント「邪神ちゃんテン」を実施しており、店舗スタッフとファンの間で信頼関係が生まれていたため、トラブルなく「クイズ」企画を実行できると考えた、と明かす。
クイズより有効な「転売対策」とは
「邪神ちゃん本セット」は、原作コミックの作者・ユキヲさんが自ら同人誌として書いた漫画や、アニメ版スタッフによるイラストを収めた5種の本で構成される。もともとユキヲさんが同人誌即売会「コミックマーケット101」(コミケ、2022年12月30日~31日開催)にて有料で「頒布」(編注:配布すること、コミケ関係者の間でよく使われる表現)した本のセットだ。
栁瀬さんによると、コミケでユキヲさんが「邪神ちゃん本セット」を頒布した時点で、高額転売が発生していた。今回の「邪神ちゃんPOP UP SHOP」で用意した冊数が多くはなかったので、転売目的の購入が多発するとファンが悲しむと考え、今回の対策に至った。
なお23年1月17日には、ユキヲさんが自身のツイッターで「邪神ちゃん本セット」について、「いよいよ28日から通販始まります」と発表している。
栁瀬さんによれば、ポップアップショップでの販売や通販告知を経て、メルカリ上で1.5倍~2倍で転売されていた出品物が売れ残るようになったという。この経緯から転売対策としては、クイズよりも「需要がなくなるまで(商品を)提供していく」のが有効だと認識した、と話した。