新型コロナウイルスのオミクロン株の1つ、「XBB.1.5」に関する報道が目立つようになっている。米国ではこのところ感染者の約4割を占めている。感染力が強く、免疫をすり抜ける確率も高いとされ、日本でも警戒感が高まっている。
略称は「グリフォン」
「XBB.1.5」は、複数のタイプの新型コロナウイルスが組み合わさった変異ウイルス。NHKによると、2022年春ごろから日本国内でも広がったオミクロン株の「BA.2」の2つのタイプが組み合わさった変異ウイルス「XBB」に、さらに変異が加わっている。
XBB(エックスビービー)というのが読みづらいため、「グリフォン」と呼ばれることも多い。
日本テレビによると、2022年10月22日から23年1月11日までに38か国で確認されている。
特に目立っているのが米国。1月14日までの1週間で新規感染者に占めるXBB.1.5の割合は43%に。2022年12月3日時点の推計2.3%から1か月あまりで、およそ40ポイントも増加している。
WHO(世界保健機関)は1月11日、「XBB.1.5」の特徴やリスクについて、専門家による初期調査の結果を公表した。それによると、比較的、感染力が強い傾向があり、過去の感染やワクチン接種で得た免疫から逃れる性質もこれまでの変異株の中で、最も強い部類に入るとみられるという。
「第8波」が長引く?
「XBB.1.5」はすでに日本でも見つかっている。東京都では、12月1日に初めて都内で確認されて以降、これまでに15例が確認されている。
国内では現在、新型コロナウイルスの第8波が進行中。中心になっているのはオミクロン株「BA.5」だが、このところ感染者に占める比率は6割程度に落ち込み、その他の変異株の割合が増えつつある。
NHKの取材に対し、東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、「(XBB.1.5は)免疫から逃れる性質だけでなく感染力がさらに強まっている可能性が指摘されている。このウイルスの流入でいまの第8波が長引くことも懸念される」と話している。
TBSは17日、「欧米の状況を見ていると、XBB.1.5は日本でも間違いなく広がる」(東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅医師)、「2月には感染者の半数近くになるかも」(国際医療福祉大学・松本哲哉主任教授)という専門家の声を伝えている。