同じものを好きな人が集まる
阿僧祇さんは、2歳上の兄がラップをしていた影響で、自身で始めた。
阿僧祇 地元(宮古島)で「SEABOYS」というグループを組み、(K-rideさんを含め)同世代でサイファーをしていましたが、8人しかいませんでした。全員の予定が合わなければ開けないため、月に1回といった頻度に留まり、あまりサイファーに行く機会がありませんでした。
――東京のサイファーは、どう感じていますか。
阿僧祇 東京に来たら「サイファーが毎週ある」と知り、それがまず新鮮でした。実際に行くと新橋サイファーにはいくつもの「円」(サイファー中のラッパー同士が形成する4~5人規模の輪)があったのが、とても印象的。地元では8人しかおらず、1つの円しかなかった。こんな風景があるのか、と。
――サイファーを、どう感じていますか。
阿僧祇 楽しいです。みんな、見た目の印象や生き方はそれぞれ違うけれど、同じものが好きな人が集まる。ヒップホップが無かったら、交われていなかっただろうという人もいます。サイファーでできた友達もいます。そういう人たちとラップをするのが面白い。また自分が日ごろ溜めていた思いをラップに乗せると、みんなが話を聞いてくれたり、「俺はこう思うぜ」と返答してくれたりします。「お互いの思いの受け渡しの場」であり、元気をもらえる場所だと思います。
――コロナ禍後のサイファーに期待することは。
阿僧祇 各地で活発に開かれ、どの曜日でも近場でサイファーに行けるようになったらいいと思います。それにより、ラップをする人も増えればうれしいです。