国内の新型コロナウイルスの感染者と死者が増え続けている。いっこうに収束の気配が見えない。加えて中国がコロナ規制を大幅に緩和、1月末の春節時には日本への旅行者が増大する可能性がある。今後、さらなる感染拡大が懸念される事態となっている。
感染者も死者もどんどん増え
NHKによると、6日に発表された国内の新たな感染者は、空港の検疫などを含め24万5542人。昨年11月からの「第8波」では最多となった。全国の死者数は456人。昨年12月29日の420人を上回って、一日の発表としては、これまでで最も多くなった。
政府は行動規制を緩和したが、感染者も死者も、どんどん増えている。感染者は、とくに九州、四国、中国地方で増加が目立っている。
共同通信によると、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス感染症の集計で、昨年12月26日から今年1月1日までの週間感染者数は、日本が約94万人で世界最多。同期間の週間死者数は、1941人。日本は、2501人の米国に次いで二番目に多かった
日本のコロナ死者の多くは高齢者。中日スポーツは5日、宇都宮市インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長が同日、「隔離解除後10日以上経ってから酷い肺炎ですといって入院を要する高齢者の方が目立ちます。命懸けになってしまいますので、リスクリスク言ってないで対策を立て仕組み作りを行っていただきたいです」と、現場の状況をまじえてツイートしていることを紹介している。
実態を正確に反映していない
上記のWHOの集計では、感染拡大が懸念されている中国の感染者数は、韓国、米国に次いで4番目に多い21万人超にとどまっている。これについて、WHOは実態を正確に反映していないとみている。
中国は昨年12月7日、それまでの「ゼロコロナ」政策を大きく転換。その後、中国全国各地で爆発的に感染者が増えていることが各種メディアで報じられている。
それにもかかわらず、中国政府は今年1月8日から水際対策を見直し、中国人の海外旅行を段階的に再開させていく方針を示している。
特に心配されているのが、1月21日から始まる中国の旧正月「春節」にあわせた7日間の大型連休だ。国内はもちろん、海外への旅行者が一気に増えると見られている。
NHKによると、日本政府は、1月8日から水際措置をさらに強化する方針を固めている。具体的には中国本土からの入国者について、今の簡易的な検査をより精度が高い「抗原定量検査」やPCR検査に切り替えるとともに、直行便での入国者に対し陰性証明を求めるとしている。
年末年始開けで国内の感染者が急増しているところに、感染爆発が起きている中国からの旅行者が大挙して押し寄せてくるか――政府には、高い緊張感を持った感染防止対策の強化や、治療・入院体制の整備がのぞまれる事態となっている。