「第99回東京箱根間往復大学駅伝」は2023年1月2~3日に行われ、駒澤大学が2年ぶり8度目の総合優勝を果たした。出雲、全日本に続いて大学駅伝三冠を達成した。
今大会では、想定外のヒーローも誕生した。育英大学4年の新田颯選手だ。オープン参加の関東学生連合チームの第一走者として往路1区(21.3キロ)を快走、一時は区間賞を取りかねない勢いだった。無名選手でも、箱根で活躍できることを見せつけた。
長身、大きなストライド
往路1区は、全10区間で争われる箱根駅伝の出だしを決める重要区間だ。選手がテレビの実況中継に映る時間も長く、注目度が高い。各大学は準エース級を投入、これまでに数多のヒーローが生まれてきた。
今回は、ややスローペースのスタート。参加20校の有力大学の第一走者は互いにけん制しあい、集団が動かない。その塊からいち早く、1人で抜け出したのが関東学生連合の新田選手だ。長身、大きなストライドで軽快に飛ばす。
同連合は、チームとして出場できなかった大学から、予選会で優れた成績を残した選手をピックアップ、特別編成されている。記録や順位は参考にとどまり、正式にはカウントされない。
そんな「日陰」の存在にもかかわらず、新田選手は精力的にトップを爆走した。10キロ地点では1分以上も、2位集団を突き放す。
ゴール近くになって足にアクシデントがあり、トップを譲ったが、力走ぶりは、沿道はもちろんテレビで観戦するファンを沸かせた。ツイッターでは一時、「新田」「育英大」がトレンド入りした。