「チャート1位に」とCD購入
――コロナ禍で変わったK-POPの推し活スタイル・お金のかけ方はありますか。
DJ泡沫 コンサートでも「メンバーに会いに行く」意識のファンは、コンサートやグッズに分散されていたお金を「ヨントン」(韓国語「ヨンサントンファ=映像通話」の略。映像通話を使ったサイン会、CD購入で抽選制の権利が当たる)等に使うようになったかもしれません。コンサートには行きたいがメンバーと直接話したいという欲求は強くない人もいるでしょう。そういう人は、使う金額は減ったかもしれませんね。
――ヨントンの登場で、CDセールス枚数が大きく伸びました。韓国の公式音楽チャート「Gaonチャート」が2021年1月12日に発表した、「年間アルバムチャートレビュー」によると、CD、レコード、カセットなど「フィジカルアルバム」の販売数は、コロナ前の2019年が約2500万枚だったのに対して、20年は約4170万枚、21年は約5700万枚でした。 一方、ジャニーズのタレントは、握手会特典などがなくても「ミリオン」を達成してきた歴史があります。
DJ泡沫 ジャニーズの場合、時折イベントはありますしバージョン違いやCDオンリーの楽曲が多いのもありますが、「同じ事務所の他のグループも1位を取ってきたから、私たちも『推し』に1位を取らせないと示しがつかない」というファンの考え方が、CD購入という行動につながることもあるようですね。K-POPでも「チャートを上にあげるために共同購入しましょう」という推し活はあります。主に中国や韓国のファンに多いですが、日本のファンは「チャートのため」という目的での複数購入はそれほどでもない感じがします。
――K-POPファンの間ではCD購入以外にも、韓国語で「スミン(ストリーミングの略)」と呼ばれる、ストリーミングやYouTubeのミュージックビデオ(MV)の空回し・連続再生で再生回数を増やす行為や、SNS投票がありますね。
DJ泡沫 全ての根源は「推しのため」でしょうけど、現状のジャニーズだとおそらく、ファンにとってはCD購入くらいしか手段がないのかも。システムや環境によって、応援方法の「アウトプット」が違うだけでしょう。実際、日本のボーイズグループ「BE:FIRST」や、ジャニーズでも音楽ストリーミング解禁している「Travis Japan」などでは、「ストリーミングしましょう」と呼びかけるファンアカウントがありますし、公式でもイベントなどでそれを促したりしています。