カタールW杯で花開いた森保ジャパン 2026年へ「2期目」の勝負

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強豪相手に主導権握るのはまだ難しい

「2010年南アフリカW杯から進歩なく、引いて守ってカウンターでつかんだベスト16では」

   今大会の結果に、こうした批評もあるだろう。

   ただ、これには南アフリカW杯の「当事者」である本田圭佑が、Abemaでのクロアチア戦解説時にこう語っている。

「(南アフリカW杯ラウンド16)パラグアイ戦は、点取れるプランはなかった。(当時と)比べたら(クロアチア戦は)プランがある」

   今、クロアチア戦を振り返っても、防戦一方だったわけではない。日本も勝利に値するプレーをしていた。フットボールに「たられば」は禁句だが、あえていえば、ワントップに収まっていれば攻撃は変わっていた。コスタリカ戦で上田綺世がハマっていれば、クロアチア戦でジョーカーになったと思う。そういった意味でも、強豪国のような選手層が必要になる。

   おそらくドイツ戦やスペイン戦の前半の印象が強く、今大会の日本代表は防戦一方だった記憶が残った人は多いのではないだろうか。ドイツやスペイン相手に主導権を握るのは、まだまだ難しい。クロアチアに勝ち切れていれば、森保ジャパンに対する印象はがらりと変わったと思う。

   リアクションやカウンターでは、小柄な久保建英や堂安律の能力がフルに発揮できないという批判もある。だが、前大会のロシアW杯同様に今大会も、カウンターから多くのチャンスやゴールが生まれた。W杯という大会で、相手が引いてブロックを組んできたところを崩すのは最難関だ。スペインはモロッコから点を奪えず、ブラジルですらクロアチアをこじ開けるのに延長まで時間を要した。

   いかに効果的なカウンターが出来るかは重要であり、問題は一試合の中でのメリハリだと思っている。つまりカウンターが悪いのではなく、フィジカルで劣る日本人の消耗度を減らすための工夫だ。自分たちが主導的にボールを保持して時間を作る「アクションサッカー」を提唱する人もいるだろうし、関西国際大学・坂本康博総監督と夏嶋隆氏が提唱するような、フィールドを分割してエリアを効果的に使うことでミスを減らす考え方もある。

石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「将棋をスポーツ化した競技『ボッチャ』」などを寄稿。 株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作したDVD『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元。現在『レフェリー』の販売中。

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