カタールW杯で花開いた森保ジャパン 2026年へ「2期目」の勝負

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【連載】サッカー・カタールW杯 森保ジャパン勝負の1年(最終回)

   現代は占いの時代だ。占い本はベストセラーになり、定期的に入れ替わる占い師にテレビ局は「冠」を与え、若者たちはスマホで自らを占う。FIFAワールドカップ(W杯)2022カタール大会でも、識者が日本代表を占った。城彰二氏のように、グループリーグ敗退を断言した人も多い。

   だが、森保一監督率いる日本代表はグループリーグを突破した。同時に「手のひら返し」が起きたが、ベスト16で敗れたことで「森保監督じゃダメ」論が再浮上した。

   我々メディアは、予言者ではない。「ジャーナリストは事実に対する現状や意義、展望を報道する専門家」と言われている。2022年1月に始まった本連載の最終回は、森保ジャパンを振り返り、次大会への展望を記したい。(石井紘人 @ targma_fbrj)

  • カタールW杯の日本代表快進撃を象徴する「三笘の1ミリ」。三笘薫の執念のアシストが、スペイン戦での逆転ゴールを呼んだ(写真:AP/アフロ)
    カタールW杯の日本代表快進撃を象徴する「三笘の1ミリ」。三笘薫の執念のアシストが、スペイン戦での逆転ゴールを呼んだ(写真:AP/アフロ)
  • カタールW杯の日本代表快進撃を象徴する「三笘の1ミリ」。三笘薫の執念のアシストが、スペイン戦での逆転ゴールを呼んだ(写真:AP/アフロ)

「委任戦術」初めは不安定なチーム

   まず森保監督への辛口な批評で多いのが、「戦術がない」「4年間の上積みがない」だ。同じように「戦術がない」と評された「ジーコジャパン」を思い出す。

   当時の主力メンバーだった久保竜彦氏に以前、「森保ジャパンは似ていると思うか」とたずねた。すると、

「似てないでしょ、全然違うチーム。試合のテンポがあきらかに違うし、走っている量も全然違う」

と断言した。

   久保氏が言うように、森保ジャパンはジーコジャパンとは違う。守備の規律はある程度整えつつも、「〇〇しなさい」と選手に徹底するのではなく、幅を与える委任戦術をとっていたと思う。これにより、「日本代表」というチームの中で発揮すべき個とグループの強化を進めた。それゆえにチームが安定せず、当初は苦しんだ。

   そこで森保監督は、「負けたら終わり」のホーム・オーストラリア戦で、4-3-3にシステムを変更し、勝利。委任戦術は貫きつつも、選手がプレーしやすいシステムで流れを変え、そのままW杯出場の切符をつかみ取った。ただし、4-3-3は簡単に言うと、中盤の負荷が高い。W杯向けのシステムではなく、あくまでもアジア予選を突破する策で、森保監督の転換期だったとは思わない。

   以降も森保監督の試合運びに戦略は感じられず、大きな期待は抱けなかった。

石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「将棋をスポーツ化した競技『ボッチャ』」などを寄稿。 株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作したDVD『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元。現在『レフェリー』の販売中。

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