パソコンの頭脳とされるCPU(中央演算処理装置)で、米アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)社の「Ryzen(ライゼン)」という製品が目立つようになっている。CPUは長年、米インテル社製品の存在が圧倒的だった。現在も同社CORE(コア)シリーズが大きなシェアをしめているが、1強時代は過ぎたようだ。
ミドルからハイエンド向け
「Ryzen」は2017年の発売。CPUの世界ではニューフェースだ。性能の割に安いということで売り上げを伸ばしてきた。インターネットのパソコン商品紹介サイトでチェックすると、掲載されているパソコン製品の2割ほどが「Ryzen」を採用している。日本のメーカーよりも、海外メーカーの採用率が高いようだ。
米ヒューレットパッカード社によると、AMDのCPUもインテル社製CPUのように幾つかのシリーズを販売している。その中でも代表的なのがRyzenシリーズで、ミドルからハイエンド向けのCPUだという。
2021年7月21日の日経新聞「『PCの頭脳』コスパ重視、AMD、割安CPUで存在感、インテル搭載より2万円安」という記事によると、AMDの安さのカギは開発と製造の水平分業にある。AMDは最先端の半導体製造技術を持つ台湾積体電路製造(TSMC)に生産を委託。莫大な生産投資コストを抑えて開発に資源を集中してきた。
日本では、将棋の藤井聡太五冠が「AMDを使用している」と発言して知名度が高まったという。
インテル最新版は「第13世代」
CPUの世界に長年君臨してきたインテルの主力は「COREシリーズ」。2006年にスタートしたロングセラーだ。何度もリニューアルを重ねながら圧倒的なシェアを誇ってきた。
この1、2年は、AMDが売り上げを伸ばすと、インテルが巻き返す、という激しい戦いが続いているという。
インテル製品では、21年後半に発売したCPU「第12世代コアプロセッサー」が好評。さらに今年10月には最新の「第13世代」も登場した。インターネットでは両社のCPUの性能比較も盛んに行われている。
年末から年始にかけて、両社それぞれのCPUを採用したパソコンの販売商戦が一段と激しさを増しそうだ。