新型コロナ再び感染拡大で「医療ひっ迫」 同じピンチなぜ繰り返すのか

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「不都合な真実」がある

   医者で医療経済ジャーナリストでもある森田洋之氏は、この問題をよりストレートに『日本の医療の不都合な真実――コロナ禍で見えた「世界最高レベルの医療」の裏側』 (幻冬舎新書)で語っている。

   同書によると、日本では1970年代の老人医療無料化の後押しもあり、1980~90年代に病床数が世界一になった。人口当たりで日本は現在、英国やデンマークの約5倍の病床を持っている。医療機器のCT、MRIの人口当たりの保有台数も日本がトップ。2位を大きく引き離している。


   大量の病床とハイレベルの医療機器――。患者からすると頼もしいが、日本の病院をビジネスという観点から見ると、リスクが大きい。病院の建設費や高額医療機器への投資を、患者の治療費で回収しなければならないからだ。そのためには、「常に満床」であることを必要とする。いざ急患が発生しても、地域のどの病院も満床で空きがない――救急車のたらい回しなどが報じられる背景にもなっているという。

   森田氏によれば、日本の病院は「想定外の事態のために空床を確保しておく余裕が取りにくい」。それゆえ「世界一の潤沢な医療資源を有事の際にスピーディーに運用・活用することができないという医療システム上の問題」があるのだという。

   「普段でさえ救急車のたらい回しが問題になるのに、日本の医療機関、民間病院が自主的にコロナパンデミックのために病床を空けることができるでしょうか」と問いかけている。

   本書では諸外国との違いも示されている。日本では病院の7割は民間だが、西欧先進国では公立が中心だ。そのため患者を特定病院に集中させるなど、病院・病床の柔軟な運用が可能だった。政府の指示が徹底しやすかったようだ。

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