ヤマハが「バーチャルマーケット2022 Winter」(VKet)に初出展した。フランス・パリの街を模した「パラリアルパリ」という会場にブースを開き、音楽にまつわるイベントを開催している。
Vketは、世界最大のVR(仮想現実)イベントだ。「メタバース調査隊hack2」は、ヤマハのブースに向かった。
「メタバース調査隊Hack2」とは メタバース(仮想空間)の魅力を取材する「VR記者カスマル」と、バーチャルBAR「Angel Kiss」店主を務めVRイベントを主催している「草羽エル」のユニット。メタバースにまつわるコンテンツやその面白みを2人で発掘、発信していく。
ガラス張りのビルの向こう側
取材にはヤマハ・プロオーディオ事業部の千々和孝秀氏が対応。同社のVket出展や企画の推進を担当しており、ブースを案内してくれた。
パラリアルパリの街を入口からエッフェル塔に向かって歩くと、ヤマハブースのビルが見えてくる。ガラス張りの立方体という外観で、旗艦店・ヤマハ銀座店(東京都中央区)をモチーフにしているという。
1階の「試奏フロア」では、ヤマハの楽器を3Dモデル化して展示。手に取って写真撮影を楽しめる。手前の譜面台に触れると、ヤマハ音楽教室のキャラクター「ぷっぷる」らが出現。CMでおなじみの曲「いけのあめ」をロック風にアレンジしたBGMが流れる。ヤマハ社員が実際に演奏して録音した音源とのことだ。
「ボカロフロア」は「特に気合入れました」
地下はステージ付きの「スタジオ」フロア。こちらも現実の銀座店にあるスタジオを再現した。千々和氏によると、このVRスタジオは「ヤマハがお客様やアーティストと共に、音・音楽の素晴らしさや楽しさを発信したり共有したりする場所」だ。
VKet期間中の12月6日には、ヤマハの音声合成ソフト「VOCALOID」(ボカロ)を使い楽曲制作をしている有名なユーザー「ねじ式」さんと、「VOCALOID」開発者による対談企画を実施した。
ところでVRChat上には、ユーザーが運営する「V-Kitazawa AWAKE」というVRライブハウスがある。ヤマハは同所で活動する「VRアーティスト」をVketのスタジオに招き、リアルタイムで演奏するイベントを12月10日と17日に開く。
2階は「ボカロフロア」。千々和氏は、「お客様に楽しんでいただける場として特に気合を入れました」。中央のステージでは、有名ボカロ曲「神っぽいな」のPVを背景に、アバターにダンスを踊らせることができる。
フロア左側には、初音ミクの等身大パネルと、写真撮影を楽しめるコーナーが設置されている。来場者がボタンを押すと、「初音ミク」を表紙としたボカロ製品のパッケージに映り込める。
クリエイターとコミュニケーションを
ブース出展の経緯について千々和氏に聞いた。
ヤマハは中期経営計画内に重要なテーマとして、顧客とのつながりの強化や「新たな価値の創出」を掲げている。メタバースについては、顧客や才能のあるクリエイターとつながりを広げつつ、ジャンルを超えて他の企業と協力し、新たな価値を生み出し得る場と捉えているという。まずはメタバースへの知見を深めたいとの考えから、VR空間への参入を考えた。
Vketは来場者が100万人を超え、メタバースイベントとして急成長しており、若年層やクリエイターの参加者も数多い。「VRユーザーの方々をリスペクトしつつ、ぜひコミュニケーションをとりたい」との思いから、Vketへの出展を決めたとのことだ。
ブースは、Vket開催期間中の2022年12月18日までオープンしている。