「笑い」を止めてはいけない
スペース終了後の二人に、「作リエ」を振り返ってもらった。山下さんは、「誰しもが隠したい、ちょっとした裏の部分が露呈してしまう、人間的な面白さ」こそが、サエ子さんが表現したい「笑い」なのでは、と分析。
山下さん「そしてそれを直接的に表すのではなく、『結果的に面白い』と思わせる作品のつくり方は、今までの私にはない発想の仕方で、多くの気づきがありました」
サエ子さんは、「好きなもの、影響を受けたものを公言する機会はそんなに多くありません」としたうえで、こうコメントした。
サエ子さん「今回、山下さんに向けてそれらを公言したことで、自分の創作への想いを客観視できました。まだ具体的に明言できるほど固まっていませんが、確実に次の作品へのヒントになったと思います」
実は、幼くして阪神・淡路大震災を経験し、「昨日遊んでいたところ、日常が、いきなりなくなった」サエ子さん。以来「生かされている、生きなければ」という感覚を抱きながら、その後上京し、バラエティー番組の編集スタッフとして働き、独立した頃に、東日本大震災が発生した。その番組で司会を務めていたお笑い芸人の言葉が胸に残り、活動を支えている。
「こんな時やから、笑いを止めたらあかん」
あらゆる感情は巡り巡って笑いに帰結し、生きるうえでの糧になる。サエ子さんには、そんな教訓がある。
第12回作リエは、2022年12月21日実施予定。