遠藤航、久保建英、吉田麻也の証言からひもとく 「新時代」と「ベスト8の壁」

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谷口彰悟は「パワーの使い方」重視

   森保監督の戦術面での上積みも必要だろう。

   久保は、W杯ではチームを優先するのは当たり前としながらも、「よく言えばチームのためにやることはやれた。悪く言えば自分のやりたいことはやれなかった」と、守備に奔走させられた現実を感じていた。同様に堂安律も、今大会の守備のベースは維持しつつも、「強豪国を相手にW杯という舞台で90分間しっかりボールを保持して勝ちたい」という理想を、バランスよく追いかけたいとしている。

   ベスト8の壁を超えるため、このロードマップを描かなければいけない。

   クロアチア戦は、リズムよく戦えた前半とは裏腹に、同点ゴールを奪われて以降は前線にボールが収まらず、好機を見いだせなかった。延長の苦しい時間帯も、ボールを保持できなかったことから体力を削られている。主導権を握れないと「苦しくなるんですよね、最後の所で」と、本連載で以前、久保竜彦氏が教えてくれた。(参考記事:「堂安を見たときは『うぉっ』て」 久保竜彦が示すスーパースターの条件

   これは決して「ポゼッション」と「カウンター」の二元論ではない。

   谷口彰悟が、次のように言語化している。「世界のトップ8に行くことを考えると、点を取り切る力、パワーがチームとしても個人としても必要だと感じた。みんながハードワークして守備をする部分は十分、世界に通用すると感じた。さらに上に行くには、『どこでどうパワーを使うか』というところをやっていかないといけない」。

   4年前のロシアW杯ではおぼろげだった世界との差が、今大会では確実に計れた。そういった意味で、間違いなく新時代を見せてくれたが、問題は次にどのように生かすのか。本連載の最後となる次回は、森保監督の進退の是非含め、「森保ジャパンとは何だったのか」の考察で締めくくりたい。(選手敬称略)

(石井紘人 @ targma_fbrj)

石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「将棋をスポーツ化した競技『ボッチャ』」などを寄稿。 株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作したDVD『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元。現在『レフェリー』の販売中。

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