新型コロナウイルス感染拡大への対策として、複数の自治体では独自の感染通知システムが運用されてきた。感染が確認された人と同じタイミングで同じ飲食店やイベントを訪問していた人に、感染の可能性について通知するシステムだ。
政府の接触通知アプリ「COCOA」は 陽性者の全数届出の見直しにより2022年11月17日から順次その機能を停止しているが、上述のような自治体の独自システムでも近ごろ終了を発表するものが相次いでいる。
県職員が作ったシステムも
直近では12月2日、広島県が「広島コロナお知らせQR」というサービスを2023年1月31日に終了すると発表した。2020年9月に運用を開始したサービスだ。
利用者は、県内の飲食施設などに提示されている専用のQRコードをスマートフォンで読み取り、メールアドレスを登録する。新型コロナ感染者と同じ時間帯に同じ施設を利用したことが確認された利用者には、メールでその旨を通知する。通知を受けた人には、PCR検査の申し込みフォームも案内する。
終了理由として、県公式サイトでは「オミクロン株流行以降、陽性者への調査が重点化され、陽性者の行動歴に基づくアラート発信が困難となった」と挙げている。QRコードを発行した施設やイベントに対しては、運用停止までにシステムについて案内しているポスターやポップを撤去するよう呼びかけている。
宮城県では、QRコードにより利用者が登録を行う広島県と同じようなシステム「みやぎお知らせコロナアプリ(MICA)」を運用していた。20年5月にライブハウスでのクラスター対策を念頭にスタートしたが、22年11月17日に停止した。公式サイトによると、この決定は陽性者の全数届出の見直しや、COCOAの停止に伴うものだという。
11月18日付河北新報ONLINEによると、導入後、MICAで実際に接触通知が行われることはなかったという。11月21日の村井嘉浩知事の会見での説明によれば、導入したライブハウスでクラスターが発生する事例がそもそもなかった。また飲食店についてはMICAを使わずとも客同士が連絡をとれるケースが多かったため、「利用がほとんどなかった」としている。
ただし、これは「ゼロ予算で県職員が作ったアプリ」とのこと。MICAの存在により各施設が安心して接客対応を行なえたことには意義があったとした上で、運用には県民の税金を投じることがなかったことから「(アプリとして)問題はなかった」との認識を示した。