政府は全国の家庭や企業を対象に、2022年12月1日から節電を要請している。省エネの冬が、やって来る。
一方で12月は、街中の樹木や建造物がLED照明などで飾られるイルミネーションのシーズンだ。節電が求められるなかでも続く電飾のイベントに、ツイッター上では疑問が多く出ている。
東京、大阪、福岡で
東京・丸の内付近の「丸の内仲通り」では、「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会」や三菱地所による「丸の内イルミネーション 2022」が、12月25日まで実施中だ。丸の内エリア内の街路樹340本以上が、シャンパンゴールド色のLED約120万球で彩られている。
東京都足立区は、「光の祭典2022」というイベントを開催する。区内の「元渕江公園」では8本の自然木を光らせるほか、イルミネーションが施された機関車のような乗り物に乗車できる「キラキラ★トレイン」といった企画を実施する。
イルミネーションとはやや異なるが、東京都では12月9日まで、都庁舎を赤色にライトアップしている。エイズまん延防止や感染者に対する差別・偏見の解消を目的とした世界エイズデー(12月1日)に合わせたものだ。赤色の照明は、エイズに対する理解と支援のシンボルとされる「レッドリボン」にちなんでいる。
もちろん東京に限らない。大阪市・御堂筋では歩道の樹木を彩る御堂筋イルミネーション2022が12月31日まで実施中だ。また福岡市・博多駅前広場でもイルミネーション企画「2022光の街・博多」が、来年1月11日まで開催されている。
東日本大震災の年は中止した例も
東日本大震災が発生した2011年では、電力需要の逼迫に伴い各地で節電要請が出されていた。これに合わせ、11年冬には一部でイルミネーションを取りやめる動きがあった。佐川急便は、それ以前は毎年、本社や全国の支社、営業店でクリスマスイルミネーションを実施していたが、2011年は節電要請を受けて中止した。
2011年10月31日付「J-CASTニュース」では、半導体メーカー「ローム」(京都市右京区)によるイルミネーションが中止になったと伝えている。本社周辺の並木道で毎年、クリスマスシーズンになるとイルミネーションを実施していた。「イルミネーションの点灯時間が冬の電力需要のピークと重なる」ことが理由だ。
2022年でも、イルミネーション主催者が節電要請に配慮するケースがある。埼玉県深谷市は、11月29日から実施しているJR深谷駅北口のイルミネーションについて、「節電のため、消灯時間を午前0時から午後11時に変更します」と12月1日に発表した。今後の状況によりさらに短縮する場合もあるという。
経済産業省公式サイトは、具体的な数値目標は設けず、「無理のない範囲」での節電への協力を呼びかけている。