政府が、マイナンバーカードと健康保険証の一本化に関する検討会を設置する。2022年12月上旬に初回の会議を開くと、河野太郎デジタル相が11月29日に発表した。24年秋に予定している一本化への移行を円滑に進めるため、課題について検討を行う。
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「オンライン資格確認」システムは2021年10月から本格運用を開始している。その利用実態について導入済みの医療機関に聞いたところ、「利用患者がほとんどいない」との回答が約8割を占めた――こんな調査結果が、近ごろ発表された。
カードの読み取り不具合が多い
10万人以上の医師や歯科医師が加入する「全国保険医団体連合会」(保団連)は、「保険証廃止・オンライン資格確認義務化 意識・実態調査」を10月14~31日に実施。保団連会員や全国の保険医協会・保険医会会員を対象に調査し、医科診療所や歯科診療所から全8707件の回答があった。
オンライン資格確認システムの導入状況については、回答数4738件のうち26%が「運用開始済み」、54%が「導入を準備中」、14%が「導入しない・できない」としたという。
システムの運用状況は、必ずしも順調ではないようだ。システム運用開始済みの医療機関に実態や懸念点を聞くと、1242件の回答のうち、「利用する患者数がほとんどいない」との答えが83%を占めた。
また運用開始後にトラブルを経験したかとの質問には1235件の回答があり、うち40%が不具合やトラブルがあったとしている。
具体的なトラブル事例に関する回答数は500件。マイナンバーカードを読み取っても、被保険者情報が迅速に反映されなかったとの話が62%。カードリーダーの不具合があったとの回答が41%だ。
システム完全導入に不安
政府は、2023年4月より全ての医療機関・薬局においてマイナンバーカードを保険証として利用できるようにする方針だ。ただ上述の保団連調査によると、システム導入準備中とした4655件の回答のうち、「3月末までに導入できるか現時点でわからない」が48%。「導入できる見込み」は49%だった。
なおマイナンバーカード一本化のため24年秋に保険証を廃止する政府方針については65%が反対、賛成は9%に留まっている(回答数4765件)。