脳のストレスがお腹にも影響
大切な会議やプレゼンの前に起こるお腹のトラブルは、極度のストレス状態が原因の場合が多いです。脳が精神的なストレスを感じると、神経経路を通じて腸に伝わります。結果、腸が過剰に活動し、腹痛や下痢を引き起こしてしまうのです。
今回のケースでは、過度なプレッシャーやストレス状態が長期的に続いたこと、寝不足による疲労感、プレゼン直前という緊張感の高まる状況から、突発的に腹痛を起こしてしまったと考えられます。資料を準備している段階から腹痛を起こしていてもおかしくありません。
近年では、このような症状が慢性的に続いてしまう「過敏性腸症候群(IBS)」が増加しています。2008年の調査によると、日本人の10人に1人が発症し、患者数は1200万人と推定されています。発症の原因はまだ解明されていませんが、炎症やストレスに対して腸が過敏に反応することで、さまざまな症状を引き起こすのです。日本消化器学会が発刊している「機能性消化管疾患診療ガイドライン 2020―過敏性腸症候群(IBS)」では、ストレス、不安などの心理異常が、病態へ関与しているとされています。
つまり、先ほどの二者択一の正解は、
食事の時間を固定する
となります。誰しもプレッシャーやストレスを感じることはあります。それに飲み込まれ続けて生活習慣が崩れると、不眠などを招いて精神的不安が増長してしまいます。そこで、忙しい中でも、決まったリズムでの生活を心がけましょう。食事時間の固定は、解決策のひとつとなります。
「下痢止めを飲む」は根本的な解決になっておらず、症状の悪化や慢性化につながる可能性があります。下痢止めはあくまで頓服です。長期的に下痢が続く、倦怠感が続く、不安感がある、といった場合は、病院を受診しましょう。