「個性」なくてもクリエイターになれる? 漫画家、映像作家、声優が大激論

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創作は己のためか、他者のためか

   自分の考える個性と、他者から見た個性とは必ずしも一致せず、カメレオンのように多様なスタイルで創作できる人と、インパクトのある一つの作風を追求できる人とでは、真逆の悩みを抱えがちだ。4人の口からは、しばしば「隣の芝生は青い」「うらやましい」と言葉が出た。

   スペースを終えた4人に、改めて議論を振り返ってもらった。山下さん、しょーたさんが印象深いフレーズとして挙げたのが「器用大富豪」だ。特に山下さんは、演劇部に所属していた時に顧問から「お前はなんでもこなせるけど、特筆してうまいことがない器用貧乏」と言われたのを今でも覚えていると言い、

山下さん「実際大学に入学してみるとその通りだったことを思い知らされて、器用貧乏の道を歩み続けてきましたが......ようやっと心が救われたし、道が開けたような気がします」

と明かした。

   しょーたさんは、「『マルチにイラストが描ける』など、不器用な僕にとっては羨ましさしかない能力を持つ人」たちが、能力ゆえの悩みを持っていることに改めて驚くと共に、「僕にすれば、皆さまは既に大富豪です(笑)」とコメント。

   桐島さんは、やじまりさんの「自分軸と他人軸」という話に感銘を受け、視野が広がったそう。やじまりさんが作家の先輩に言われた、「他人軸ではなく、自分軸で物を作ることを覚えていかないと、いつか潰れるよ」とのアドバイスだ。創作の目的が「人のニーズをくみ取り、楽しませる」に偏りすぎると、自身が表現したいものや意欲を見失う、との意味がある。

   もともと桐島さんは「好きなものに関わりたい、楽しみたい、という自分のエゴで仕事をしている」が、中身としては作り手の意図・意志をすくい上げて表現するのが、役目だと受け止めている。整理すると、「自分軸で仕事をしているが、スタンスとしては他人軸で表現をしているのだ」と思ったという。

桐島さん「自分のエゴで仕事をしていることに対し、ネガティブな意識を持つことも少なくなかったわたしにとって、この目線を得られたのはとてもプラスになりました」

   やじまりさんも「他人軸でクリエイティブをすることと、自分軸でクリエイティブをするバランス感って、人それぞれでいい」と、一つの答えを手に入れたと話す。

やじまりさん「昔『漫画家なんだからSNSで有名にならなきゃ、フォロワーから好かれなきゃ』」と言われたことがあります。ずっともやもやしていたのですが、霧が晴れた気がします」

   次回の作リエは、12月7日予定。

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