ポストコロナのゆりかもめは
東京都が2015年7月に発表した「広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫」という資料では、ゆりかもめ延伸(豊洲~勝どき)と「都心部・臨海地域地下鉄構想」を比較。両者を整備した場合について検討したところ、臨海地域の需要が競合してしまい、ゆりかもめ延伸による収支採算性に課題が出るとの結果になったという。
「運輸政策審議会答申第18号」の次期答申にあたる「交通政策審議会答申第198号」を受け、国土交通省の交通政策審議会は、「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」(2016年4月付)という資料をとりまとめた。その中では、「国際競争力強化」につながる交通プロジェクトとして、「都心部・臨海地域地下鉄」が挙げられている。しかし交通政策の構想から外れたのか、ゆりかもめ延伸に関する項目は見当たらない。
その後も、中央区がゆりかもめ延伸に反対する立場は変わっていないようだ。2021年7月24日に実施した区の「築地等地域活性化対策特別委員会」で、高橋まきこ区議会議員は、ポストコロナを見据えたゆりかもめの延伸に対する考えを、改めて先述の吉田副区長に質問した。高橋議員によると、ゆりかもめでは以前には勝どきに留まらず、東京駅にまで延伸する計画があったのだという。
これに対し、吉田副区長は、ゆりかもめは「中量輸送機関」かつ「遊覧的」であり、機能論からして東京駅にはつなげられないと説明。勝どきまで延伸する必要性も存在しないとし、「(区としては)豊洲のところで止めてしまったらいいんじゃないのか」と考えていると回答した。