イーロン・マスク氏ツイッターに夢中だけど 「本業」テスラが結構ヤバい

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中国ではBYDが追い上げ

   決断の背景には、テスラが直面する「需要の不振」「競合の台頭」という2つの問題があると見られている。

   同社が10月19日に発表した2022年7~9月決算は、売上高、納車台数ともに市場の予測を下回った。テスラは年初に今年の納車台数の目標を140万台に設定したが、1~9月の実績は約90万台で、目標達成には残り3か月で50万台の上積みが必要だ。実現は非常に困難で、決算発表日の翌営業日は株価が下落した。

   中国市場はテスラ車の3分の1が売れるドル箱だったが、ゼロコロナ政策で経済が低迷している上に、今年に入って現地自動車メーカーのBYDが販売台数を急激に伸ばし、「テスラのライバル」と紹介されることも増えた。BYDは今年3月でガソリン車の生産を終了しており、EV市場で唯一無二の存在だったテスラにとって、初めての本当の意味での「挑戦者」になる可能性もある。

   ツイッター買収資金の調達のためか、マスク氏がテスラ株を39億5000万ドル(約5800億円)で売却したことが11月8日に明らかになると、テスラの株価はさらに下落し、10日時点で過去2年分の上昇幅が吹き飛んだ。BYDは2023年に乗用車の日本進出を発表しており、テスラと同水準のハイエンドEVブランド立ち上げを計画しているとも言われる。マスク氏はツイッターに夢中だが、その間に本業を支えている中国でのブランド力が危うくなる可能性もある。

【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」

浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
Twitter:https://twitter.com/sanadi37
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