食料品など諸物価が値上がりする中で、高齢者の医療保険料や介護保険料も引き上げられるという報道が相次いでいる。それぞれの制度維持のため、「応分の負担増」が検討されているという。ほかにも、「消費税」や「コロナワクチン接種料」などなどが議論になっており、実施された場合、かなりの国民に影響が及ぶことになりそうだ。
厚労省が方針示す
読売新聞によると、厚生労働省は10月31日、社会保障審議会介護保険部会で、一定の所得がある65歳以上の高齢者が支払う介護保険料の引き上げを検討する案を正式に示した。低所得者は引き下げを検討し、高齢者の間で所得に応じて保険料を負担する「応能負担」を強化したい考えだという。
厚労省はこのほか、原則1割、一定の所得がある場合は2割か3割となっている介護サービス利用時の自己負担について、2割負担の対象者を拡大することを検討する案なども示したという。
高齢者の医療保険料についても10月以降、各紙で取り上げられている。共同通信は11月8日、かなり具体的な内容を報じた。それによると、75歳以上が入る後期高齢者医療制度の保険料に関し、政府は、高所得者の年間上限額を現行の66万円から80万円程度に引き上げる方向で調整に入ったという。
年間上限額の引き上げに併せ、中間所得層の保険料も増額するとも報じられている。こちらも、高齢化で医療費が膨張する中、経済力に応じた負担を求めるのが狙いだ。今後詳細を詰め、2024年度の実施を目指すという。
10%から引き上げる
報道されている各種保険料の引き上げは、高齢者の中でも、所得の多い人に高額の負担を求める、といのが共通した方向性だ。しかし、介護保険の場合、「2割負担の対象者を拡大することを検討」とされ、後期高齢者医療制度の場合も、「中間所得層の保険料も増額」と報じられている。所得の多い層にとどまらず、幅広い層に影響が及ぶ可能性がありそうだ。
さらに心配なのは消費税の値上げだ。産経新聞は10月26日の政府税制調査会で、参加した複数の委員から、国の財源確保に向けて中長期的な視点で消費税率を現在の10%から引き上げる議論をすべきとの意見が相次いだと報じた。
委員からは、「未来永劫(えいごう)、日本が消費税率を10%のままで、財政が持つとはとても思えない。議論を遅滞なく行えるようスタンバイが必要」「消費税を住民の負担感覚なく引き上げていくことが重要」といった意見が複数みられたという。
コロナワクチンも自己負担?
値上げではないが、共同通信は10月15日、政府は「国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を、現行の20歳以上60歳未満の40年間から延長し・・・45年間とする検討に入った」と伝えている。こちらも実施されると、国民生活への影響が大きい。
また、FNNによると、財務省は、11月7日に行われた財政制度等審議会で、新型コロナウイルスのワクチン接種について、「全額国費による異例の対応であり、廃止すべき」と指摘し、インフルエンザなどと同様に、接種者が一部の費用を負担するよう見直しを図るべきと提案した。後藤茂之経済再生担当相は8日、国費負担について現時点で変更する必要はないとの認識を示したが、今後、論議が再燃する可能性もありそうだ。