2019年に正殿が消失した沖縄・首里城に「行ける」。地元企業「あしびかんぱにー」(那覇市)が運営するメタバース(仮想空間)「バーチャル沖縄」だ。
2022年11月7日まで、体験イベント「OKINAWA JAPAN VIRTUAL FES」を開催している。VR記者カスマルは10月31日、「バーチャル沖縄」内で首里城をめぐる「バーチャル沖縄観光ガイドツアー」に参加した。
実物を忠実に再現
バーチャル沖縄は、「首里城エリア」「国際通りエリア」「ビーチエリア」の3エリアがある。メタバースプラットフォーム「VRChat」から、VRゴーグルを付けて参加可能だ。パソコンやスマートフォンのブラウザーから入れる「簡易版」メタバース空間も、用意している。ただし今回の観光ガイドツアーは、VRChat内でのみ詳細を楽しめる。
首里城エリアは、「一般財団法人沖縄美ら島財団」監修のもとで実物を忠実に再現した。各所に、城の歴史や雑学を自動で教えてくれるガイドキャラクターが常設されている。フェス期間中のためか、現在はエリア内に紙吹雪が舞い続けている。
今回のガイド役は、「バーチャル添乗員」の「赤地の兎」さん。実際に沖縄で、観光ツアーの添乗員を務めていた経歴を持つ。
まず目に入るのは、二千円札の図柄に用いられている「守礼門」。上部に飾られている額内にある「守禮之邦」の文字が名前の由来だ。「礼節を重んじる国」との意味を持つ。
赤地の兎さんによれば、琉球王国時代、この額はもともと「期間限定」だったという説がある。中国からの使者「冊封使」が王国に訪れている間のみこの額を飾り、普段の額には「首里」と書かれていた、との説明だ。
守礼門には3つの入り口がある。真ん中の入り口は、王族や「冊封使」といった要人だけが通れたのだという。とはいえ現在は令和4年、身分は関係なく「好きなところを通って進みましょう」と赤地の兎さん。ツアー客の多くが中央を通り抜けると、
「王族は7割といったところでしょうか」
と「ひと笑い」取っていた。現実世界の沖縄ツアーでも、同じような案内をしていたそうだ。手慣れている。