大迫勇也ではなく柴崎岳 森保一監督が求めた「経験」に違いが

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キャプテンシーある選手は「後ろ」に

W杯日本代表メンバーの選考について報道陣の質問に答える森保一監督(J-CASTトレンド撮影)
W杯日本代表メンバーの選考について報道陣の質問に答える森保一監督(J-CASTトレンド撮影)

   一方で、チームの核となる中盤の底やセンターバックには「試合をコントロールする経験が必要になる」。元韓国代表フィジカルコーチ・池田誠剛氏の指摘だ。

   森保監督から、大迫や原口を選出しなかった理由を耳にした筆者は、「先ほどのW杯経験者の力ですが、その点が柴崎選手の選出理由でしょうか」と聞きたかった。だが、その前に会見の質疑応答は時間切れとなってしまった。

   そのため、ここからは筆者のこれまでの取材に基づいた推論になる。

   多くの監督経験者は、「キャプテンシーがある選手が後ろにいる方が、チームは落ち着く」と教えてくれる。2010年南アフリカW杯の闘莉王氏や中澤佑二氏。18年ロシアW杯の長谷部誠が、その役割を果たした。逆に06年ドイツW杯は、大会直前の親善試合のドイツ戦から、中田英寿氏をはじめとする「前の選手」たちにパワーが移ってしまったと言われている。同様に14年ブラジルW杯も前の選手たちの「自分たちのサッカー」に引っ張られてしまった。結果論だが、日本は両大会ともグループリーグを勝ち抜けなかった。

   柴崎はロシアW杯を、長谷部と共にボランチの位置でプレーを経験している。所属するスペイン2部リーグでの復調だけでなく、「必要なW杯経験者」なのだと思う。森保監督と「ドーハの悲劇」を経験した都並敏史氏も『サッカーダイジェスト』の記事内で「若手よりも経験から柴崎」と語っていた。

   森保監督は三人選べるGKに、東京五輪のレギュラーである谷晃生ではなく、川島を選んだ。つまり、守備陣には経験を。攻撃陣にはキレをという基準も感じられる。

   森保監督がカタールW杯で求めるものが、柴崎と大迫の明と暗になったのかもしれない。そんなことを感じた記者会見だった。(選手敬称略)

(石井紘人 @ targma_fbrj)

石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「将棋をスポーツ化した競技『ボッチャ』」などを寄稿。 株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作したDVD『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元。現在『レフェリー』の販売中。

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